ボーローポイント

ボーローポイント：沖縄の変遷を語る場所

ボーローポイント、またはボーロー飛行場は、第二次世界大戦中に沖縄本島西海岸の読谷村に建設された米軍基地でした。終戦後、その役割は大きく変化し、射撃場や通信施設として利用された後、大部分が返還され、現在は観光地や農地として利用されています。

戦争から終戦、そして基地へ

1945年4月1日、沖縄戦で米軍が読谷村に上陸すると、この地域はすぐに占領され、ボーロー飛行場が建設されました。当初は、B-29爆撃機による日本本土爆撃の拠点となる計画でしたが、終戦によりその役割は果たされませんでした。その後、輸送機部隊が駐留し、余剰となった軍用品の集積所として利用されました。これらの物資は、後に朝鮮戦争中に日本や韓国へ送られました。

ボーローポイント射撃場と核ミサイル

沖縄返還に際して、読谷村の米軍施設は「ボーロー・ポイント射撃場」として統合されました。この地域は、核弾頭搭載のメースBミサイルやナイキ・ハーキュリーズミサイルの発射基地でもあり、冷戦時代には重要な軍事拠点でした。しかし、1970年代には大部分の施設が返還され、1977年には「瀬名波通信施設」と名称変更されました。

CIAの通信拠点

ボーローポイントには、CIAの外国放送情報局（FBIS）の通信施設も置かれていました。ここでは、日本や中国、ベトナム、ソ連の放送が24時間体制で傍受され、情報収集が行われていました。

返還と跡地利用

1970年代から段階的に返還が進められ、2006年には大部分が返還されました。現在、ボーローポイントの跡地は、サトウキビやマンゴーなどの農地として利用されるほか、リゾートホテルやアミューズメント施設が建設され、観光地として発展しています。特に残波岬周辺は、美しい海岸線とリゾートホテルが融合した、沖縄らしい風景が広がっています。

ボーローポイントの歴史

1945年：ボーロー飛行場として建設。
1945年：米軍が上陸・占領。
1949年：外国放送情報局（FBIS）沖縄ステーションが設置。
1957年：ナイキ・ハーキュリーズ基地、メースB基地が建設。
1972年：ボーロー・ポイント射撃場として統合。
1970年代：段階的に土地が返還。
1977年：瀬名波通信施設に名称変更。
2006年：大部分が返還。

瀬名波通信施設

瀬名波通信施設は、ボーローポイント射撃場の一部が名称変更されたものです。この施設は、主に通信施設として使用され、1970年代から2006年まで段階的に返還が進められました。

場所：読谷村（字瀬名波、字宇座、字渡慶次）
施設面積：4,816,000㎡ (1972年) → 612,000㎡ (2014年)

核兵器とボーローポイント

ボーローポイントには、核弾頭を搭載したメースB巡航ミサイルやナイキ・ハーキュリーズ地対空ミサイルが配備されていました。冷戦時代には、この地域が核兵器の拠点として重要な役割を果たしていたことがわかります。また、ナイキ・ハーキュリーズの発射実験の際には、自衛隊員も招待されていた記録も残っています。

跡地開発

返還後、跡地はリゾートホテルや農地として開発されました。残波ロイヤルホテルやホテル日航アリビラなどが建設され、沖縄のパストラル・リゾートが形成されました。また、地元企業の御菓子御殿やジ・ウザテラスなどもオープンし、地域経済の活性化に貢献しています。

まとめ

ボーローポイントは、戦争、冷戦、そして平和へと変化してきた沖縄の歴史を象徴する場所です。現在はリゾート地として発展していますが、その歴史を忘れることなく、平和への願いを込めて語り継いでいくべき場所です。

脚注

参考文献:
読谷バーチャル平和資料館「ボーローポイント射撃場」
『沖縄の米軍基地関係資料』沖縄県総務部、1972年。

関連項目

沖縄の米軍基地 > 外国放送情報局 (FBIS)
在日米軍 > 沖縄のアメリカ陸軍航空軍
読谷村

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