ポエトリー アグネスの詩

映画『ポエトリー アグネスの詩』

『ポエトリー アグネスの詩』（原題：시）は、2010年に公開された韓国映画で、イ・チャンドンが監督と脚本を手がけました。この作品は、実際に韓国で発生した女子中学生の集団レイプ事件からインスピレーションを得て制作されており、衝撃的かつ深いテーマを扱っています。物語の中で、アグネスという名は、長い物語の中で自殺した少女の洗礼名として象徴的に使われています。

あらすじ

物語の主人公は、60代の女性ミジャ。彼女は古いアパートで、生活保護を受けながら娘から預けられた中学生の孫、チョンウクの世話をしています。そんなある日、ミジャは地域の文化院で「詩」の講座を受けることになります。そこで彼女は詩を書くことの楽しさや、言葉を通じて表現する喜びを知ります。ミジャは、詩の世界にどんどん引き込まれていきますが、同時に悲劇的な現実にも直面します。

彼女はアルツハイマー病を患い始め、記憶が徐々に失われていく中、自分の孫チョンウクが同級生の女子生徒に対して行った凄惨な事件を知ることになります。その女子生徒は、チョンウクとその友達によって数ヶ月にわたり輪姦され、悲しくも自ら命を絶ってしまいます。ミジャは、この事件の真実を知ることになり、家族としての責任や社会に対しての疑問を抱くようになります。

事件は公にされることを拒まれ、関係者たちは示談金を被害者の母親に支払って、万事を収めようとします。それに対して、ミジャは自分の信念を貫こうと苦悩しますが、病気と共に進行する認知症の影響で思考が混乱し、自らの道を見失いかけます。

キャスト

主要キャストには、ミジャを演じるユン・ジョンヒや、孫チョンウク役のイ・ダウィなどが名を連ねています。彼らの演技は作品全体を通して感動的で、観客に深い印象を残します。

公開と評価

『ポエトリー アグネスの詩』は、2010年5月13日に韓国で194館で公開され、初週末の興行成績は約25万8000ドルに達しました。興行収入はその後も伸び続け、2010年の8月1日までに韓国国内での累計収入は約130万ドルを超えました。

映画は批評家にも高く評価されており、Rotten Tomatoesでは56件のレビューで支持率は驚きの100%を記録し、平均点は10点満点中8.6点という評価を受けています。

受賞歴

この作品は、そのストーリーと技術的な巧妙さにより、2010年の韓国アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞しました。

『ポエトリー アグネスの詩』は、詩やアートがどのように人間の苦悩と向き合う助けとなるのかを探求しながら、家族の絆や社会的な問題について考えさせられる一作となっています。この映画を通じて、観客は詩の持つ力と人間の内面に潜む痛みについて深く考える機会を得ることでしょう。

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