ポケット一杯の幸福

映画『ポケット一杯の幸福』解説

『ポケット一杯の幸福』（1961年）は、フランク・キャプラ監督によるアメリカ映画。同監督の『一日だけの淑女』（1933年）をリメイクした作品で、主演はグレン・フォード、共演にベティ・デイヴィス、ピーター・フォークらが名を連ねます。コメディ、ファンタジー、ヒューマンドラマの要素が融合した本作は、キャプラ監督の最後の作品として、今も多くのファンに愛されています。ピーター・フォークは、アカデミー助演男優賞にノミネートされました。

ストーリー

舞台は1930年代初頭のニューヨーク。ギャングのボスであるデイヴ・ザ・デュードは、リンゴ売りの老女アップル・アニーからリンゴを買うと幸運が訪れるという迷信を信じていました。そんな中、アニーには、ヨーロッパに留学しているルイーズという娘がいました。ルイーズは婚約者のカルロスとその父アルフォンソ伯爵を連れて、ニューヨークにいるアニーに会いに来ることになります。実は、アニーは娘に自分が社交界の華であると嘘の手紙を送っており、それを知ったデュードは、アニーのために一肌脱ぐことを決意します。

デュードは、クイニーという女性の協力を得て、アニーを洗練された貴婦人に仕立て上げ、自身の友人のペントハウスを借りて、ルイーズとその婚約者をもてなします。ニューヨーク市長や州知事も参加する豪華なレセプションを開き、アニーの正体がバレないように奔走します。一方、デュードは、シカゴの裏社会のボスであるミスター・ビッグとの交渉を控えており、アニーのことで時間を取られていることに、部下のジョイボーイは苛立ちを募らせます。最終的に、デュードはミスター・ビッグとの契約を成功させ、クイニーと結婚することを決意。アニーの嘘も守られ、ルイーズは婚約者とともにヨーロッパへ帰って行きます。

キャスト

デイヴ・ザ・デュード：グレン・フォード
アップル・アニー：ベティ・デイヴィス
ジョイ・ボーイ：ピーター・フォーク
クイニー：ホープ・ラング

制作の背景

本作は、キャプラ監督が自身の過去作をリメイクした作品であり、以前の作品よりもギャング側の視点を強調し、アクションシーンを増やしています。ピーター・フォークは、当初、自身の演技スタイルに戸惑いを感じていましたが、キャプラ監督の助言により、新たな境地を開くことができました。また、ジャッキー・チェン主演の『奇蹟/ミラクル|奇蹟_ミラクル』（1989年）は、本作に影響を受けて制作された作品です。

評価

『ポケット一杯の幸福』は、公開当時から高い評価を受け、現在でも多くの人々に愛されています。ユーモアと温かい感動が詰まったストーリーは、観る人の心を温かくし、幸福感を与えてくれます。

関連情報

* デイモン・ラニアン『ガイズ＆ドールズ』（原作）

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