フランク・キャプラ

フランク・キャプラについて

フランク・キャプラ（Frank Capra）は、アメリカの映画監督であり、20世紀の映画界において多大な影響を与えた人物です。1897年5月18日、イタリアのシチリア島に生まれた彼は、貧しい家庭で育ちました。6歳の時に家族と共にアメリカのロサンゼルスに移り住み、父はオレンジ畑で働きながら家計を支えました。幼少期から新聞の売り子や酒場で演奏するなどして、家計を助ける努力を強いられました。

映画界への道

キャプラは、1918年にカリフォルニア工科大学でエンジニアリングを学び、その後は陸軍に従軍しましたが、スペイン風邪にかかり早期に除隊しました。彼はその後、本の販売業や様々な職を経験した後、シナリオ学校に入りました。ここで映画製作への興味を深め、1921年にクリスティ映画社に入社し、映画界でのキャリアをスタートさせました。

監督デビューと成長

キャプラの監督デビューは、1922年にポール・ガースン映画社での短編映画『Fultah Fisher's Boarding House』でした。彼はその後、喜劇映画の助監督として活躍し、1925年にマック・セネットと出会い、長編監督デビューを果たします。キャプラは特に1928年にコロムビア映画に招かれ、そこでの作品が評価されるようになります。

コロムビア映画での成功

コロムビア映画では、彼の名が広まるきっかけとなる『呑気な商売』を初めとした多くの作品を手がけ、トーキー映画へも積極的に取り組みました。1934年の『或る夜の出来事』は特に大ヒットし、アカデミー賞の主要部門を制覇しました。これにより、キャプラは映画界のトップ監督となり、コロムビアもメジャースタジオの仲間入りを果たしました。

栄光と挫折

その後も『オペラハット』や『我が家の楽園』と次々にヒット作を生み出し、3度のアカデミー監督賞を受賞しました。しかし、1937年に発表した『失はれた地平線』は予算を大幅に超過し、上映後には作品のカットがなされるなど苦い経験となりました。

戦争と戦後の活動

第二次世界大戦中は軍隊に入り、映画班で活動しました。戦後には自らの制作会社を設立しますが、1946年に公開した『素晴らしき哉、人生!』は興行的に失敗しました。この経験が彼の自信を削ぎ、以降の作品数は激減しました。

晩年と影響

1964年に短編映画を最後に映画界から引退し、1971年には自伝を発表しました。引退後も、特に『素晴らしき哉、人生!』がクリスマス時期にテレビで放映され続け、多くの新しい世代から再評価されるようになりました。フランク・キャプラは1991年に94歳で亡くなりますが、彼の影響力は映画界に今も色濃く残っています。彼の作品は、アメリカン・ドリームやユーモア、ヒューマニズムにあふれ、キャプラスクという言葉が生まれるほど、独自の色を持つ存在として記憶されています。

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