ポケットU

ポケットU：自宅PCデータへのモバイルアクセスサービス

NTTドコモが提供していた「ポケットU」は、外出先から携帯電話やスマートフォンを使って、自宅のパソコンに保存された動画、音楽、画像、Microsoft Office文書などのファイルにアクセスできるサービスでした。 本サービスは、同社の「ホームU」や「mopera U」とは全く異なるものです。

サービス概要

ポケットUを利用するには、まず自宅のパソコンに専用のソフトウェア「ポケットUソフト」をインストールする必要がありました。このソフトウェアは、ドコモのサーバーとVPN接続を行い、携帯電話からの安全なアクセスを実現する役割を担っていました。 ユーザーは、携帯電話から自宅PC内のコンテンツにアクセスし、動画や音楽の視聴、画像の閲覧、Word、Excel、PowerPointファイルといったドキュメントの閲覧が可能です。ただし、ドコモのパケット定額サービス（パケ・ホーダイなど）への加入が必須条件でした。

クラウドサービスの普及と通信環境の変化に伴い、ポケットUは2011年8月31日に新規契約受付を終了し、2012年2月29日にサービス自体が終了しました。

ポケットUソフトの機能

ポケットUソフトは、携帯電話からのアクセス認証機能と、PCに保存されたファイルを携帯電話で利用可能な形式に変換する機能を備えていました。この変換機能により、様々な種類のファイルが携帯電話で利用できるようになりました。

ファイル変換機能

動画: DV、非圧縮AVI、MPEG1/2、3GPP（MobileMP4）形式の動画は、ポケットUソフトによってMP4に変換され、携帯電話に送信されました。
音楽: AAC、AAC＋（HE-AAC）、WAV、3GPP（MobileMP4）形式の音楽ファイルもMP4に変換されて送信されました。
画像: JPEG、GIF、BMP形式の画像は、ポケットUソフトでリサイズ処理が行われていました。
文書: Word、Excel、PowerPoint、PDFファイルは、ポケットUソフトによってPDFに変換され、携帯電話で閲覧可能となりました。

その他の機能

ポケットUソフトには、変換されたファイルを携帯電話で利用しやすいようにWeb変換機能やアクセスフォルダ作成機能も備わっていました。さらに、ドコモとPC間のVPN接続や認証機能も重要な役割を果たしていました。

拡張機能（プラグイン）

ポケットUは、様々なプラグインによって機能を拡張することができました。

Webカメラプラグイン: Webカメラで撮影した画像を閲覧可能にしました。
ネット家電プラグイン: 家庭内LANに接続されたハードディスクレコーダーなどのコンテンツにアクセスできました。
プレイリストプラグイン: iTunesのプレイリスト内の音楽をポケットUで利用可能にしました。
TVぴたっとプラグイン (フレームワークスタジオ提供): TVチューナーで録画した番組をシーンごとに分割して閲覧できました。

利用可能機種と接続環境

2009年7月時点では、902iシリーズ以降のドコモ携帯電話が利用可能でしたが、一部対応していない機種もありました。また、PDF閲覧機能のない機種ではドキュメントの閲覧はできませんでした。スマートフォンでは、いくつかの機種が対応していました。

PC側の設定には、Windows XP/HOME/Pro、Windows Vista 32bit版が利用可能OSでした。パソコンにはポケットUソフトをインストールし、VPN接続可能なネットワーク環境、ウイルス対策ソフトの導入が必須でした。ドキュメント閲覧にはMicrosoft Office 2003または2007が必要でした。

携帯電話からのアクセスは、iMenu→マイメニュー／マイボックス→ポケットUという手順で行われました。

料金

月額利用料金は315円でした。

まとめ

ポケットUは、当時のモバイル環境において、自宅PCのコンテンツを外出先から手軽に利用できる画期的なサービスでした。しかし、技術革新とサービス形態の変化によって、歴史の幕を閉じました。このサービスは、現代のクラウドサービスの先駆け的な存在として、モバイル技術の歴史において重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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