ホームU

ホームU：NTTドコモが提供していた家庭向けFMCサービス

NTTドコモがかつて提供していた「ホームU」は、家庭向けに特化したFMC（Fixed Mobile Convergence）サービスでした。FOMAと無線LANに対応したデュアル端末を使用し、自宅を快適な通信環境へと変える画期的なサービスとして注目を集めました。

サービス概要

ホームUは、自宅に設置した無線LANアクセスポイント（ホームU対応アンテナ）とフレッツ回線を接続することで利用できるサービスです。最大54Mbpsの高速無線LAN（IEEE 802.11a/b/g）に対応したFOMA端末を用いて、無線LANまたはフレッツ回線経由でのiモード（フルブラウザを含む）通信が無料になる点が大きな特徴でした。さらに、ドコモのビジネス向けサービスであるmopera IPセントレックスを応用し、対応端末間でのIP電話通話を無料で行うことも可能でした。

主な特徴:

無料通話: ホームUユーザー間では、場所を問わず内線電話のように無料通話ができました（ただし、双方がホームUアンテナの圏内にあることが条件）。
複数回線対応: 1契約につき、最大6回線まで追加することが可能でした。
高速・無料パケット通信: iモード通信は最大54Mbpsの高速通信で、パケット通信料は無料でした。
FOMA料金プランとの組み合わせ: ホームU圏内のみでiモードを使用する場合、FOMAの料金プランとホームUの料金だけで利用できました。最も安い料金プランでは、月額1785円（タイプSSバリュー（ひとりでも割50）+iモード+ホームU）とフレッツ回線料のみで利用可能でした（ただし、パケットし放題ダブルとの併用が推奨されていました）。
割引通話料金: ホームU圏内から公衆回線（他のFOMA回線を含む）への発信通話が、通常料金より3割安くなりました（FOMAの新料金プランが対象）。

デメリット:

回線切替の必要性: すでにフレッツ回線以外のブロードバンド回線（ADSL、CATVなど）を利用している場合は、ホームUを申し込む際に回線を切り替える必要があり、利用の障壁となっていました。
利用範囲の制限: 無線LANによるIP接続サービスは、ホームU設備（アンテナとフレッツ回線）を設置した自宅等でのみ利用可能でした。他の無線LANサービスのように、外出先での利用はできませんでした。
パケット定額との兼ね合い: ホームUエリア外でiモードなどを頻繁に利用し、パケット定額の上限額まで使用している場合、ホームUによる料金削減効果は期待できません。

ワンナンバーサービス

サービス開始当初は、ホームUとFOMA回線を区別するために、ホームUには050番号が割り当てられていました。しかし、2008年10月1日からは、090/080番号で発着信できる「ワンナンバー（ホームU）」サービスが開始されました。

利用条件

ホームUを利用するには、以下の条件を満たす必要がありました。

ブロードバンド回線: フレッツADSL、Bフレッツ、フレッツ光ネクスト（NTT東日本）、フレッツADSL、Bフレッツ、フレッツ光プレミアム（NTT西日本）などに対応していました（ADSLは低速回線の場合、利用に支障が生じる可能性がありました）。
ホームU対応アンテナ: バッファロー、コレガ、NEC、プラネックスコミュニケーションズ、NTT製のアンテナに対応していました。
OS: 「ホームU設定ソフト」を動作させるため、Windows XP、Windows Vista、Windows 7（32ビット版・64ビット版）が必要でした。
その他: 1アンテナにつき、同時利用可能な回線数は最大6回線でした。

対応機種

ホームUに対応したFOMA機種は、N906iL onefone、N-06A、N-02B、N-04B、N-08B、N-02C、N-05C、CA-01Cなどがありました。

利用料金

ホームU利用料金：490円/月
ワンナンバー利用料金：157.5円/月
* パケット通信料（ホームU内）：無料

サービス終了

2011年8月31日に新規受付を終了し、2012年 8月31日にサービスが終了しました。対応機種の限定やスマートフォンの普及による自宅Wi-Fi環境の普及などが、サービス終了の要因として挙げられます。