ポストクレジットシーン

ポストクレジットシーンとは

ポストクレジットシーン（別名：エンドクレジットシーン、ミッドクレジットシーン、アフタークレジットシーンなど）とは、映画やテレビ番組のエンドクレジット後、または途中に挿入される映像のことです。このシーンは、エピローグ、おまけ映像、ユーモア、未解決の謎の提示、続編への伏線など、様々な目的で使用されます。エンドクレジットの途中で挿入されるものは、特にミッドクレジットシーンと呼ばれます。

通常、映画では、主要スタッフ・キャストのクレジット、ミッドクレジットシーン、通常のエンドクレジット、そしてポストクレジットシーンという流れで構成されることが多いです。

歴史

ポストクレジットシーンの初期の例として、1979年の映画『マペットの夢みるハリウッド』が挙げられます。この作品では、エンドクレジット中にマペットたちが観客席から立ち上がり、会話やジョークを交わし、最後に観客に「帰れ！」と叫ぶという、メタ的な演出がされました。この手法は、1980年代のコメディ映画で特に流行しました。

1980年の『フライングハイ』では、主人公ではないタクシーの乗客への電話で終わり、1987年の『マスターズ/超空の覇者|マスターズ_超空の覇者』では、続編を匂わせるセリフで終わるなど、コメディ要素だけでなく、物語の拡張としても使われました。また、1986年の『フェリスはある朝突然に』のように、キャラクターが観客に直接語りかけるなど、第四の壁を破る演出も多く見られました。この手法は、後の『デッドプール』（2016年）でもパロディとして使われています。

現代の映画における例

1980年代以降、ポストクレジットシーンはコメディ以外のジャンルでも使われるようになりました。本編で語られなかった脇役のその後を描いたり、未回収の伏線を回収する目的で使用されることが多くなりました。

例えば、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでは、5作品全てにこのようなシーンが含まれています。『ナポレオン・ダイナマイト』（2004年）では、登場人物同士が結婚したことが明かされ、『キャノンボール』（1981年）では撮影中のNGシーンが公開されました。ジャッキー・チェンが出演するアメリカ映画では、クレジット中にアウトテイク映像が流れることがよくあります。

また、シリアスな作品では、未回収の伏線や脇役の出番を隠す形式が使われました。例えば、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』（2006年）では、物語の中盤で死亡したプロフェッサーXが実は生きていることが示され、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』（2002年）では、記憶喪失になったロックハートのその後が描かれています。『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎|ヤング・シャーロック_ピラミッドの謎』（1985年）では、クレジット中に「モリアーティ」と署名する人物が登場します。

さらに、事前に計画されたシリーズ作品では、続編への伏線としてポストクレジットシーンが活用されるようになりました。『マトリックス リローデッド』では、『マトリックス レボリューションズ』の予告編が流され、リチャード・リンクレイター監督の『スクール・オブ・ロック』（2003年）では、クレジット中に登場人物が歌い続けることで、観客を最後まで楽しませました。

特に、マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）作品では、ポストクレジットシーンが多用されています。これらのシーンは、今後のシリーズ作品との繋がりを示唆したり、物語の重要な伏線、単純なジョークとして使われています。

例えば、『アイアンマン2』（2010年）では、砂漠で発見されたハンマーが『マイティ・ソー』（2011年）への伏線となり、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』（2014年）では、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン|アベンジャーズ_エイジ・オブ・ウルトロン』（2015年）に登場するキャラクターたちが初めて登場しました。また、『アベンジャーズ』（2012年）では、ヒーローたちがシャワルマを食べるというコミカルなシーンが描かれています。

MCUのポストクレジットシーンについて、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、映画が終わってほしくない、映画館にいるという体験を終わらせたくないといった映画の原体験に起因すると語っています。

ピクサー作品でも、ポストクレジットシーンにコメディシーンやエピローグが挿入されることが多く、『バグズ・ライフ』（1998年）ではNGシーン風の演出がされ、『トイ・ストーリー2』以降の作品ではエピローグが含まれています。

また、珍しい例として、トミー・ウィソーの伝記映画『ディザスター・アーティスト』では、契約上の義務で、ウィソー本人が登場するシーンがポストクレジットシーンに挿入されました。

テレビ番組

テレビドラマやテレビアニメでは、エンドクレジット後の映像はCパートと呼ばれることが多いです。Cパートには、エピローグ、おまけコーナー、次回予告などが含まれ、時にはCパート自体がないことや、エンドクレジット自体がないこともあります。テレビ番組は映画に比べて放送回数が多いため、特別なエンディング映像が用意されることもあります。

ゲーム

ビデオゲームでは、初期の例として『MOTHER2 ギーグの逆襲』が挙げられます。ゲームの最後に、ポーキー・ミンチの弟からの手紙が届くという演出がありました。また、現代のゲームでは、エンドクレジット中にキャラクターが話したり、ナレーションが入ったりすることが一般的で、続編への伏線や布石が示されることもあります。開発規模が大きくなり、クレジットが長くなるにつれて、プレイヤーの興味を維持するための追加シーンやインタラクティブな要素が含まれることも増えています。

まとめ

ポストクレジットシーンは、映画やテレビ、ゲームといった様々なメディアで、物語の補完や拡張、ユーモアの提供、続編への期待感を高めるなど、多様な役割を果たしています。これらのシーンは、単なるおまけ映像ではなく、作品全体の構成において重要な要素となっており、観客や視聴者にとって、作品をより深く楽しむためのエンターテイメント要素として不可欠なものとなっています。

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