ポセイドン (ミサイル)

ポセイドンC-3：アメリカ海軍のSLBM

ポセイドンC-3 (UGM-73) は、[アメリカ海軍]]が運用した二世代目の潜水艦発射弾道ミサイル]です。[[ロッキード社が開発したポラリスA-3ミサイルを基に、大幅な性能向上を図って開発されました。米海軍における弾道ミサイルシステムとしては2番目に配備されたシステムであり、その運用期間は1970年代から1990年代初頭までと長く、冷戦期の核抑止戦略において重要な役割を果たしました。

開発の経緯

ポセイドンC-3の開発は、ポラリスA-3ミサイルの射程延伸を目指した計画から始まりました。1963年11月、この計画は「ポラリスB-3」としてスタートしましたが、多弾頭化（MIRV）技術の開発が優先されたため、射程延伸計画は見送られました。その後、計画名称は「ZUGM-73 ポセイドンC-3」に変更され、開発は続けられました。1971年3月に作戦配備能力が達成されると、既存のポラリスミサイルを搭載するラファイエット級原子力潜水艦への搭載が始まりました。ポセイドンC-3はポラリスA-3よりも外径が大きかったため、ミサイル発射管の改修が必要となり、原子炉の定期検査に合わせて発射管の内径拡大工事が実施されました。

性能と特徴

ポセイドンC-3は、二段式固体燃料ロケットを採用し、単一の可動ノズルによる姿勢制御システムを搭載していました。全長は約10.39メートル、直径は約1.88メートル、重量は約29.2トンというサイズで、ポラリスA-3と比べてやや長く、かなり重いミサイルでした。射程は最大5,930キロメートルに達し、CEP（円確率偏差）は550メートルと、高い命中精度を誇っていました。

MIRV化が実現したことで、1発のミサイルで複数の目標を攻撃することが可能になりました。バス（Post-Boost Vehicle）と呼ばれる分離機構を用いて、最大14基のMk.3型再突入体を搭載することができました。ただし、最大搭載数で運用すると射程が短くなるため、実際には10基搭載で5,930キロメートルの射程で運用されることが多かったようです。搭載されたW68核弾頭は、50キロトン級の威力を有していました。

運用と退役

ポセイドンC-3は1972年から配備が開始され、約620基が生産されました。31隻のラファイエット級弾道ミサイル原子力潜水艦に496基が搭載され、作戦配備に就きました。しかし、より高性能なトライデントミサイルの開発・配備が進んだことにより、1979年からトライデントC-4 (トライデントI)への更新が始まり、1990年にはトライデントD-5 (トライデントII)への更新が完了しました。そして、1994年には全てのポセイドンC-3は退役しました。

まとめ

ポセイドンC-3は、冷戦期におけるアメリカ海軍の核抑止力の中核を担った重要なSLBMでした。ポラリスA-3ミサイルを改良・発展させた本ミサイルは、MIRV化による多目標攻撃能力の向上、命中精度の向上など、様々な点で進歩を遂げました。その後、トライデントミサイルへの更新により退役しましたが、その運用期間は長く、冷戦時代の核戦略において重要な役割を果たしたと言えます。

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