ポツダム市電

ポツダム市電

ドイツ、ブランデンブルク州の州都ポツダム市内を走る路面電車は、地域の主要な公共交通機関の一つです。このポツダム市電は、19世紀末に敷設された馬車鉄道をその起源とし、100年以上の長い歴史を持っています。現在、その運営はポツダム市内で公共交通事業を担うポツダム交通会社（Verkehrsbetrieb in Potsdam、ViP）が行っています。

歴史

ポツダムにおける軌道交通は、1880年に運行を開始した馬車鉄道に端を発します。その後、複数の事業者が参入し、路線網はポツダム駅など市内各地に広がっていきました。1890年代には電化計画が持ち上がり、1904年の公営化を経て、1907年からは馬車鉄道の路線の順次電化・路面電車化が進められました。戦前には路線網が拡大し、1930年代には5つの系統が運行される規模となります。

しかし、第二次世界大戦中は、人員や電力の不足から運行が困難になり、終戦間際には全面的に停止しました。さらに、1945年の空襲で市内の交通施設が甚大な被害を受けます。終戦後の復旧作業により、1946年までに多くの区間で運行が再開されましたが、一部の系統は廃止されました。

戦後から現代へ

戦後、東ドイツの一部となったポツダム市電は、一時的な路線の整理があったものの、都市の発展や郊外の住宅地開発に合わせて再び路線を拡大しました。特に1980年代には大規模な延伸が行われ、路線長が大きく増加しました。車両面では、国産車両に加え、チェコスロバキア製の小型連接車KT4Dが導入され、従来の車両を置き換えていきました。

東西ドイツ再統一後の混乱期には、労働者の流出などにより系統の再編（廃止や短縮）が行われます。また、運営組織も再編され、1991年に現在のポツダム交通会社（ViP）が設立されました。同社は後に有限会社となり、現在はポツダム市企業局の傘下に入っています。

再統一後、自動車社会化の進展により一時は利用客が減少しましたが、ポツダム市は路面電車を交通網の中核と位置づけ、積極的な投資を行っています。市内の再開発に合わせた改良工事や近代化が進められるとともに、路線の延伸も継続されており、近年では2017年に北部のユングフェルンゼー大学方面への路線が開通しました。車両の近代化も進み、超低床電車の導入によりバリアフリー化が推進されています。また、2015年にはエネルギー効率向上を目的として架線電圧の昇圧も実施されました。

系統、運賃、車両

現在、ポツダム市電は90番台の系統番号で7つの系統を運行しています。運賃については、ポツダム交通会社がベルリン・ブランデンブルク運輸連合（VBB）に加盟しているため、VBB共通のゾーン制運賃が適用されます。ポツダム都市圏には独自のゾーンが設けられており、距離に応じた運賃が設定されています。多様な期間乗車券なども利用可能です。

現有車両は、東ドイツ時代に導入されたタトラKT4D（一部更新・動態保存あり）、1990年代から導入されたシーメンス製超低床電車コンビーノ、そして2010年代から導入されたシュタッドラー・レール製超低床電車バリオバーンの3形式が中心です。コンビーノはポツダムが最初の導入路線の一つであり、一部車両は連接車体を増結しています。バリオバーンは現在の主力車両の一つです。

将来に向けて、ポツダム交通会社は新型超低床電車の導入計画を進めており、2021年にはシュタッドラー・レール製のトラムリンクを導入することを決定しました。約42mの7車体連接車で、2024年以降に導入が始まる予定です。

また、かつて活躍した一部の車両は動態保存されており、特別な機会に運行されています。これらの車両の維持管理には、関連団体が協力しています。

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