ポドヴィリン

ポドヴィリン：映画『レッドブル』に登場する架空の自動拳銃

ポドヴィリン（Podbyrin）は、1988年のアメリカ映画『レッドブル』（原題：Red Heat）に登場する架空の自動拳銃で、映画内では「Podbyrin 9.2mm」と呼ばれています。この銃は、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じるモスクワ市警警察官、イワン・ダンコ大尉の愛用の武器として登場します。しかし、実際には「Podbyrin」という名称の銃器や設計者は存在せず、完全にフィクションの産物です。

背景と製作

『レッドブル』は、ソビエト連邦とアメリカそれぞれの刑事が主人公として活躍する映画であり、その設定から非常に印象的なロシア風の拳銃が求められました。当時一般的なトカレフやマカロフではなく、より特徴的なデザインの大型拳銃が必要とされました。また、シュワルツェネッガーの大柄な体格にふさわしいサイズ感も求められました。

監督のウォルター・ヒルは、銃器に対して「ワルサーP38のようだが、より大きくて粗野なもの」を意図していました。この要望に基づき、銃器専門家のティム・ラフランスは、デザートイーグル拳銃を原型としてポドヴィリンを制作しました。デザートイーグルはアルミフレームを使用しており、加工が容易であったため、改造には適していました。

撮影用のポドヴィリンは、.357マグナム弾の薬莢から作った空砲仕様に改造されましたが、実弾に戻すことも可能な構造を備えていました。ラフランスによると、空砲射撃用に改造する際に最も難しい部分はガスポートの調整だと言います。また、ポドヴィリンをP-38に似せるための形状調整も大きな挑戦でした。この銃は、グリップ、バレルバンド、フロントサイトがP-38の特長を踏襲しています。

劇中での役割

劇中では、ポドヴィリンは外交特権を用いてアメリカに持ち込まれるものの、中盤でダンコ大尉が署長に見つかり没収されてしまいます。以後は彼の相棒、アート・リジック（演：ジェームズ・ベルーシ）の私物のS&W M29を借りることになります。この際、二人の間で「ダンコ大尉、おたくが今手にしてるのは世界一強力な拳銃だ」というやり取りが交わされます。

ダンコは宿敵であるグルジア人マフィア、ヴィクトル・ロスタをM29で撃ち倒すのですが、その直後に「やはり銃はソ連製が良い」と発言することで、ポドヴィリンに対する高い信頼が示されています。このセリフは、ダンコがポドヴィリンに寄せる価値観を印象付ける重要なポイントとなっているのです。

まとめ

ポドヴィリンは、映画『レッドブル』において重要な役割を果たす架空の拳銃であり、その独自のデザインと背景には深い考察が必要です。この銃は、単なる武器としての役割を超えて、登場人物のキャラクターや物語の進行に大きな影響を与えているのです。ストーリーを深く理解するためには、ポドヴィリンの存在の意義を考えることが欠かせません。

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