ポマード

ポマードの概要

ポマードとは、主に男性向けに使われる整髪料の一種で、ローリングな形状を持つ油性または水性の製品です。特徴としては、髪を強力に固定し、艶やかな仕上がりをもたらす点が挙げられます。ヘアジェルやヘアスプレーなどの製品とは異なり、ポマードは髪の間の油で結合して固定されるため、仕上がりは濡れたような仕上がりになります。種類としては、油性、水性、植物性、鉱物性に分類され、それぞれに特有の性質があります。

油性ポマードは、熱に対しては弱いものの、湿気には強い特徴があり、加工された油を使用しています。一方で水性ポマードは、熱に強いものの、湿気にはあまり強くない性質を持ち、洗い落としやすいのが特長です。植物性ポマードはひまし油や木蝋など自然由来の成分を含み、強い粘り気がありますが、原料に由来する匂いを抑えるため、多くの香料が使用されていることが一般的です。鉱物性のポマードはワセリンやミネラルオイルを使っており、植物性に比べるとさらっとした使い心地ですが、洗い落ちには時間がかかることが多いです。

市販されているポマードの多くは、植物性であることが特徴となっています。

ポマードの歴史

「ポマード」という言葉のルーツはラテン語の「pomum」という言葉にさかのぼり、これはリンゴや果物を指します。このことから、かつてはリンゴを原料にした製品が髪の毛に使われていたことがわかります。19世紀までは、髪を固めるためには動物由来の食用脂肪が使われていましたが、20世紀に入り石油を利用した技術が確立されると、新たにワセリンやミツロウを用いたポマードが広がりを見せるようになりました。

日本におけるポマードの発展

日本では、1920年に柳屋本店がアメリカから技師を招いてポマードを開発し、幸運にもそれがロングセラー製品となりました。ポマードが一般に流通し始めた昭和初期には、家庭内でヘアドライヤーが普及しておらず、またシャンプーも一般的ではなかったため、男性の整髪は特に難しい状況でした。この中で、癖を取るために濡れた髪にポマードを使って整えるスタイルが一般化していったのです。

しかし1960年代には、合成ポリマーを主成分とするヘアリキッドが登場し、整髪剤の使用は変化を見せました。ポマードの人気は次第に低下するも、一部の著名人がポマードスタイルで親しまれるようになり、徐々にその存在感を放っていきました。家庭でのドライヤーの普及や、ボリューム感のある髪型が流行したことも影響しています。

2010年代に入ると、バーバーショップスタイルなどが再流行し、再びポマードが注目を集めるようになりました。現代では、油性と水性のポマードがシーンやスタイルによって使い分けられています。

まとめ

ポマードはその歴史と共に進化し続けており、髪型を整える重要なアイテムとして位置づけられています。日本におけるポマードの発展は特に興味深く、整髪料としての使用が一般的になるまでの道のりを知ることができます。

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