ポメレリア

ポメレリアの歴史

ポメレリア（Pomerelia）は、ポーランド北部のバルト海沿岸にあたる歴史的な地域であり、古代から多彩な文化が栄えてきました。バルト海の北側、ヴィスワ川の三角州に位置するポメレリアは、かつてポメラニアと呼ばれており、現在のポモージェ県の一部に該当します。その中心地であるグダンスク（ドイツ語でダンツィヒ）は、歴史的に重要な港町として知られています。

先史時代

この地域では、紀元前650年から紀元前150年頃にはポメラニア文化が栄えていました。その後、紀元前150年から1世紀にはオクシヴィエ文化が広まり、西スラヴ人が7世紀から8世紀頃には住むようになりました。これらの文化はそれぞれの民族によって発展し、ポメレリアの地域性を形作る要因となりました。

ポメレリア公国の成立

10世紀にはスラブ系のポメラニア人が定住し、次第に独立した公国を形成しました。11世紀にはポーランド王国に征服されましたが、1121年には再度ポメラニア公国が独立を果たし、ポメレリアはポーランド領のまま残りました。1138年以降、ポメレリアの公国は次第に力を増し、自立を試みました。

ポメレリア公国は歴代のピャスト朝の末裔によって治められ、特にソビェスワフ家が功績を残しました。ポメレリアは1227年に独立国となりましたが、その公はポーランドとデンマークの封臣という位置づけでした。デンマークはこの地方に政治的影響を及ぼし、1394年にはこの地方を宗主権下におくことに成功しました。

ゲルマン化とドイツ騎士団の影響

ポメレリアはさらに小さく細分化され、各地の公国がそれぞれの領主に治められました。有名な公にはムシチュイ1世やシフィエントペウク2世がいます。シフィエントペウク2世はポメレリアをデンマークとポーランドの宗主権から解放しましたが、次の公、ムシチュイ2世はブランデンブルクに対する依存を強いられました。

1294年、ムシチュイ2世が死去すると、ポメレリアの相続権を巡り、ポーランド王とブランデンブルクの間で争奪戦が展開されました。最終的には1308年、ポーランド王ヴワディスワフ1世がドイツ騎士団と手を組みブランデンブルク軍を撃退したものの、騎士団は翌年にはグダンスクを占領し、ポメレリアをその支配下に置きました。これにより、ポメレリアはドイツ騎士団国の一部になりました。

プロイセン王国の一部に

1466年にはポメリアなどが王領プロイセンに再編され、ポーランド・リトアニア共和国の一部となりました。しかし、1569年のルブリン合同を経て自治権が制限され、その後1732年までこの状態が続きました。

その後、ポーランド分割によってポメレリアはプロイセン王国の領土になります。第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約では、ポーランド領として分配され、ポーランド回廊として海に面しました。戦後、歴史的な背景の中でポメレリアは多様な民族が混在する地域としての特性を持ち続けています。

住民と文化

ポメレリアにおける住民は、主にドイツ人とカシューブ人から構成されていました。カシューブ人はスラブ系民族で、現在もこの地域に多く居住し、独自の文化や言語を持っています。第二次世界大戦後にはドイツ人が追放されたため、カシューブ人の文化が色濃く残る地域となりました。

ポメレリアの歴史は多様な文化が交錯し、変遷を重ねてきた結果、現在に至るまで独特の地域的特性が見られます。この地で受け継がれてきた文化や伝統は、地域社会のアイデンティティに深く根付いています。

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