ムシチュイ2世

ムシチュイ2世：ポモジェ東部の公、その生涯と遺産

ムシチュイ2世（1220年頃 - 1294年）は、ポモジェ東部のシフィエチェ公として知られています。彼はグダニスク公シフィエントペウク2世の息子であり、父の死後、シフィエチェ公位を継承し、後にグダニスク公も兼ねることで、その勢力を拡大しました。

生涯と業績

1269年、ムシチュイ2世はアルンスヴァルデの和約を結び、これによりブランデンブルク辺境伯が彼の領土に対する宗主権を得ました。しかし、ムシチュイ2世は領土を拡大し続け、叔父であるルビシェヴォ公サンボル2世の死後、ポメレリア地方の全域を支配下に置くことに成功しました。

ムシチュイ2世の治世は、周辺諸国との複雑な関係によって特徴づけられます。弟ヴァルティスラフ2世はグダニスク公でしたが、ムシチュイ2世とその同盟者によって領国を追われ、ドイツ騎士団国家へと逃れました。また、叔父サンボル2世も同様にムシチュイ2世によって領国を追われ、騎士団国家に身を寄せた後、亡くなりました。これにより、ムシチュイ2世はポメレリアの単独支配者となりました。

ケンプノの和約とその後

ムシチュイ2世には男子の相続人がいなかったため、アルンスヴァルデの和約が存在する以上、彼の領土はブランデンブルクに渡る可能性がありました。しかし、彼は1282年にケンプノの和約を結び、遠縁にあたるポーランドのヴィエルコポルスカ公プシェミスウ2世を全領土の相続人に指名しました。この決定は、ブランデンブルクとポーランドの関係を悪化させ、後の1308年のドイツ騎士団によるグダニスク占領の一因となりました。

結婚と私生活

ムシチュイ2世は1275年にクヤヴィ公カジミェシュ1世の未亡人エウフロジナと結婚しましたが、1288年に離婚し、元修道女のスリスワヴァと再婚しています。

ムシチュイ2世の遺産

ムシチュイ2世の生涯は、ポメレリア地方の政治的変動期における重要な出来事でした。彼の領土統一の努力、ブランデンブルクとの関係、そしてポーランドとの連携は、その後の歴史に大きな影響を与えました。特に、ケンプノの和約は、ポーランドとドイツ騎士団との間の紛争の種となり、グダニスクの占領へと繋がりました。ムシチュイ2世の決断は、後の世代にまで影響を及ぼしたと言えるでしょう。

参考文献
John Brown Mason, The Danzig Dilemma; a Study in Peacemaking by Compromise, 1946
Theodor Hirsch, Max Töppen, Ernst Gottfried Wilhelm Strehlke: Scriptores rerum Prussicarum: Die Geschichtsquellen der preussischen Vorzeit
* Marian Gumowski: Handbuch der polnischen Siegelkunde, 1966

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