ポラリスプロジェクトジャパン

人身取引被害者サポートセンターライトハウスについて

人身取引被害者サポートセンターライトハウス（Lighthouse: Center for Human Trafficking Victims）は、日本における人身取引問題の解決を目指し活動していたNPO法人です。前身であるポラリスプロジェクトジャパンから2014年1月に改名し、人身取引の被害者支援、啓発活動、政策提言を行ってきました。2022年7月に解散しましたが、その活動は日本の人身取引問題への取り組みにおいて重要な役割を果たしました。

ライトハウスの設立と変遷

ライトハウスの前身であるポラリスプロジェクトは、2002年にアメリカで設立され、日本では2004年に藤原志帆子氏によって任意団体としてポラリスプロジェクトジャパンが設立されました。2009年にはNPO法人化し、2014年に団体名を「人身取引被害者サポートセンターライトハウス」に変更しました。設立当初から、人身取引問題の深刻さを訴え、被害者支援と社会啓発を積極的に展開しました。2019年には、AV出演強要問題に関する政策提言を行い、プロジェクトチーム発足に貢献するなど、その影響力は大きかったと言えます。2021年3月には、代表理事（理事長）が林美子氏に交代しましたが、2022年3月に人身取引被害の相談事業を「特定非営利活動法人ぱっぷす」に移管し、同年7月に解散しました。

ポラリスプロジェクトジャパンの活動

2002年のアメリカでの設立後、2004年に日本での活動が開始されました。当初は日本人ボランティアと有志が東京を拠点に活動していましたが、2005年には相談電話を開始し、外国人女性の人身取引に関する相談が多数寄せられるようになりました。その後、警察や支援者向けの啓発ブックレットを発行するなど、啓発活動も積極的に行いました。2007年には日本の主要な反人身取引団体として認知され、国内外での講演や政府・NGOとの面会も増えました。2008年からは、毎月セミナーを開催し、人身取引問題に関する多角的な情報を発信していました。2009年にはNPO法人格を取得し、日本人児童や女性への人身取引相談に対応するため、買春やポルノに巻き込まれる子どもたちを守るためのアウトリーチを開始しました。2010年には、児童ポルノ問題に対し、他団体と協力して取り組みました。2011年には国会議員会館で院内集会を開催し、国際的なシンポジウムも実施しました。

ライトハウスのミッションと方針

ライトハウスは、性的搾取や労働力搾取を目的とした人身取引問題に取り組み、日本を人身取引のない社会にすることを目指していました。そのために、以下の7つの方針を掲げていました。

非暴力：暴力ではなく、思いやり、理解、誠実なコミュニケーションをもって問題解決を目指します。
説明責任：透明性の高い活動を行い、地域社会からの信頼を得ることを重視します。
協働：国内外の様々な団体と連携し、人身取引問題の解決に取り組みます。
コミュニティエンパワーメント：地域住民の積極的な参加を促し、人身取引に関する情報提供や交流の場を提供します。
被害者中心：被害者の尊厳を守り、差別や偏見のない支援を行います。
長期的改革：人身取引の根本的な原因を追究し、社会構造の変革を目指します。
革新：社会起業家精神を持ち、テクノロジーを活用して、革新的な解決策を追求します。

ライトハウスの具体的な活動

ライトハウスは、以下の様な活動を通じて、人身取引問題の解決を目指していました。

政策提言：AV出演強要問題に関する法制化を求めるなど、政策提言活動を行いました。
被害者支援：ホットライン相談、緊急保護、医療や福祉、法的支援への同行支援など、被害者への直接的な支援を行いました。
啓発活動：入国管理局の職員や警察官など、人身取引被害者と関わる可能性のある人々への研修や、一般市民向けの講演会を開催し、人身取引問題への理解を深める活動を行いました。また、連続セミナーを開催し、人身取引に関する情報を発信しました。
アドボカシー活動：日本の人身取引対策を強化するため、国際的な連携を深める活動を行いました。

参考文献

ライトハウスの活動について、より詳しく知りたい場合は、以下の文献を参照してください。

ニコラス・D・クリストフ、シェリル・ウーダン『ハーフ・ザ・スカイ』北村陽子訳、藤原志帆子解説、英治出版（2010）
小島優、原由利子『世界中から人身売買がなくならないのはなぜ？』合同出版（2010）
渡邉奈々『社会企業家という仕事　チェンジメーカーⅡ』日経BP社（2007）
反差別国際運動日本委員会編『平和は人権―普遍的実現をめざして』解放出版社（2011）

外部リンク

NPO法人ライトハウス

ライトハウスは解散しましたが、その活動は日本の人身取引問題への取り組みに大きな影響を与え、現在もなおその理念は受け継がれています。

もう一度検索