ポラリス・インダストリーズ

ポラリス・インダストリーズ：オフロード車両のパイオニア

ポラリス・インダストリーズは、アメリカを代表するオフロード車両メーカーです。スノーモービル、全地形対応車（ATV）、サイド・バイ・サイド・ビークル（SxS）、三輪自動車、そして近年注目を集める近隣地域向けの電気自動車など、多様な製品ラインナップを誇ります。

1954年、エドガー・ヘイティーン氏らによって設立された同社は、翌1955年に最初のスノーモービルを製造。その後、生産拠点をミネソタ州に移し、1960年にはアラスカへの長距離走行に成功するなど、黎明期から業界を牽引してきました。

1968年にはテキストロン社に買収され、同時期に富士重工業（現SUBARU）製のエンジンを採用。この関係は長く続き、ポラリスの製品に富士重工のエンジンが搭載されるのが一般的となりました。

技術革新への取り組みも積極的で、1976年には水冷エンジン搭載モデルや独立懸架サスペンションモデルを発表。1995年には自社製エンジンの開発にも着手し、徐々に富士重工業への依存度を下げていきました。

事業の多角化にも積極的に取り組み、1992年には水上オートバイの製造を開始（2004年中止）、1997年にはオートバイブランド「ビクトリー・モーターサイクル」を立ち上げました。1999年にはSxSの先駆けとなる「レンジャー」を発表し、オフロード市場での地位を確固たるものにしていきます。

2000年代に入ると、KTMとの提携や、フランスのラリーチーム「エクストリームプラス」との協力関係を通して、ダカールラリーなどの国際的なレースシーンでも成功を収めます。

2011年には、オートバイブランド「インディアン」を傘下に加え、更なる事業拡大を実現。2013年には、半世紀以上にわたる関係にあった富士重工業から、同社が保有していた自社株を買い戻し、長きにわたる協力関係に幕を閉じました。

その後も、2015年には雪上バイクメーカー「ティンバースレッド」を、2016年にはアフターパーツメーカー「トランスアメリカンオートパーツ」を買収。更には、2018年にはボートブランドを複数傘下に収める「ボート・ホールディングス」を買収するなど、積極的なM&Aを展開し続けています。

2017年には年間売上高が50億ドルを突破し、SxS「レンジャー」の累計生産台数は100万台に到達するなど、高い成長を維持しています。一方、ビクトリー・モーターサイクルは製造終了となりました。

ポラリスは、ダカールラリーにおいても大きな成功を収めています。特に軽量バギーのT3クラスでは4年連続優勝、UTV部門独立後も初代優勝を飾るなど、その高い技術力と信頼性を世界に示しています。

現在、ポラリスはスノーモービル、ATV、SxS、そしてボートなど、幅広いオフロード車両を提供しており、世界中のオフロード愛好家から絶大な人気を誇る企業となっています。また、2019年にはフリート販売をサポートする「ポラリス・アドベンチャーズ」も設立し、新たなビジネスモデルの構築にも取り組んでいます。

ポラリス・インダストリーズの未来は、更なる技術革新と積極的な事業展開によって、ますます目が離せない存在です。

もう一度検索