ポリフォニックシンセサイザー

ポリフォニックシンセサイザーについて

ポリフォニックシンセサイザーとは、和音を演奏する機能を持つシンセサイザーのことを指します。シンセサイザーは1960年代後半から1970年代前半にかけて登場し、その当初は主に単音のみを発音する「モノフォニック」な楽器が主流でした。一般的なキーボード楽器が、各鍵に特定の音源が対応しているのに対し、初期のシンセサイザーでは、各鍵の入力が共通の音源へと結びついており、制御電圧によって音が生成される仕組みでした。そのため、単音楽器としてのみ機能し、特にライブパフォーマンスではハーモニーの表現が難しかったのです。

1970年代の中頃から、和音を鳴らせる新型のシンセサイザーが発表されるようになり、徐々にポリフォニックシンセサイザーが市場に広がっていきました。それとともに、音の表現の幅も大きく広がり、多様な音楽スタイルに対応できるようになりました。ポリフォニックシンセサイザーは、単音楽器のモノフォニックシンセサイザーに対する呼称として広く認知されるようになり、両者の区別が明確になりました。

ポリフォニックシンセサイザーの方式

ポリフォニックシンセサイザーが実現される際には、2つの主要な方式が存在しました。

全鍵盤発振方式

この方式では、各鍵に対して独立した音源を持つ構成になっています。これは、ピアノやオルガンと同様に、鍵を押すことで各音源が同時に鳴ることが可能です。しかし、シンセサイザー特有の機能であるポルタメントには対応できず、電子キーボードのような音色が得られるだけにとどまります。ポリモーグやコルグのPS3100とPS3300がこの方式の代表的なモデルです。

キーアサイン方式

この方式は、複数のモノフォニックシンセサイザーの音源を使用し、それぞれの制御電圧を同時に操作するものです。初めてキーボードが開発され、この方式によって同時に複数の音を鳴らすことが可能になりました。1975年にヤマハから発売されたGX-1や、1977年のCSシリーズなどがそれに当たります。この方式が主流となり、オーバーハイムのOB-Xや、シーケンシャル・サーキットのプロフェット5など、多くの機種がこの技術を基に誕生しました。

関連項目

ポリフォニックシンセサイザーは、音楽制作やパフォーマンスの幅を広げ、その進化は今も続いています。関連する項目には、ポリフォニー、同時発音数、モノフォニックシンセサイザーなどがあります。音楽界におけるポリフォニックシンセサイザーの位置づけは、非常に重要であり、多様な音楽要素を創り出す大きな役割を果たしています。

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