ポルシェ・968

ポルシェ968 (Porsche 968)

ポルシェ968は、ポルシェが1991年に944の後継モデルとして市場に投入したスポーツカーです。このモデルは1995年まで生産され、主に北米市場での需要に応じて開発されました。944の価格が下落する中で、新たな競争力を持つモデルが必要とされ、ポルシェはデザインの刷新を決定しました。

発表と開発

968は、1991年のフランクフルトモーターショーで1992年モデルとして公開されました。デザインは924の経験を持つハーム・ラガーイによって手がけられました。968は、944S2のエンジンを基にした直列4気筒DOHC自然吸気エンジンを搭載しており、可変バルブタイミング機構ヴァリオカム（Vario Cam）を吸気側に組み込むことで、240馬力を達成しています。排気量は2,990 ccで、エンジン出力は6,200 rpmで240馬力、4,100 rpmで31.0 kgmという性能を持っています。

生産はアウディのネッカーズルム工場からポルシェのツッフェンハウゼン工場に移され、内外装デザインは944ターボや944S2と類似しているものの、ドアパネルやウィンドウガラスの処理など83%が新部品で構成されています。これにより、パーツはおおむね944シリーズで流用可能でした。

市場では968が「944の焼き直し」とみなされ、高価格設定が影響しあまり販売が伸びず、4年の間に生産された台数は12,776台にとどまりました。

モデルバリエーション

1991年モデル

• - 968: ベースモデルとして、ABSが標準装備。マニュアルトランスミッションとセミオートマチックトランスミッションの選択肢があり、LSDはオプションとして用意されています。

1992年モデル

• - 968 カブリオレ: オープンモデルが追加され、カブリオレの車両重量は1,440 kgとやや増加します。カブリオレは人気を博し、販売台数の約半数を占めました。

1993年モデル

• - 968 クラブスポーツ: スポーツモデルとして、リアシートを撤去し軽量化が図られました。50kg軽量化された結果、重量は1,320 kgとなり、価格はベースモデルより安価で、人気が高まる結果となりました。
• - 968ターボS: 限定モデルで、944ターボを基にしており、305馬力を発揮します。フロントボンネットの特別なデザインや18インチホイールが特徴です。
• - 968ターボRS: ドイツGT選手権用の特別仕様。337馬力を誇り、極少数生産されました。

1994年モデル

• - 968: 基本モデルは販売が続けられ、968クラブスポーツも同様にラインナップされています。

最後に

ポルシェ968は、そのデザインや性能において多くのファンを魅了しましたが、市場の反応は期待に応えられないものでした。結果、後継モデルであるボクスターに生産ラインを譲る形で生産を終了しました。968は、ポルシェのスポーツカーの歴史における重要な一ページを飾っています。

もう一度検索