ポルトガルによるゴア占領

ポルトガルによるゴア占領：インドにおける拠点の確立

1510年12月10日、ポルトガル王国のアフォンソ・デ・アルブケルケ提督は、インドのゴア（現在のヴェーリャ・ゴア）を占領しました。この出来事は、ポルトガルがインドにおける拠点を確立する上で重要な転換点となりました。

背景：アルブケルケ提督の決断

アルブケルケ提督は、ポルトガル国王マヌエル1世からホルムズ、アデン、マラッカの占領を命じられていましたが、ゴアについては具体的な指示を受けていませんでした。それにも関わらず、彼がゴアを攻撃したのは、ティモージーという人物の存在が大きく影響しています。ティモージーは、ゴアから追放されたヒンドゥー教徒であり、ホンナヴァルの艦隊を率いる提督でした。彼は、ゴアのヒンドゥー教徒たちがムスリムの統治から解放されることを切望していると訴え、アルブケルケ提督を説得しました。また、当時ゴアはインド洋における重要な貿易港として繁栄していました。

占領の経過：一進一退の攻防

1510年2月、アルブケルケ提督はアントニオ・デ・ノローニャ提督と共にゴアに到着し、さしたる抵抗もなく入城を果たしました。しかし、その後ビジャープル王国軍がゴアを包囲したため、ポルトガル軍は同年5月30日にゴアを放棄し、ビジャープル王イスマーイール・アーディル・シャーにゴアを返還しました。

しかし、アルブケルケ提督は諦めませんでした。カンヌールを拠点に兵力を整え、3か月後の11月24日、34隻の船と1500人のポルトガル兵、300人のマラヤーリ兵からなる大艦隊を率いて再びゴアに現れました。さらに、ホンナヴァルでティモージーの軍勢と合流し、大艦隊を編成したのは、ゴアとマムルーク朝、カリカットの領主ザモリンの同盟を警戒したためでした。

アルブケルケ提督率いる大艦隊は、瞬く間にゴアを奪取し、12月10日にはイスマーイール・アーディル・シャーとオスマン帝国の援軍を降伏させました。この際、アルブケルケ提督はゴアのムスリム住民を老若男女問わず皆殺しにするよう命じたとされ、後に詩人のルイス・デ・カモンイスによって痛烈に批判されています。

その後：ポルトガルのインド拠点へ

ゴア占領は、アルブケルケ提督がマヌエル1世の命令なしに行ったものであり、彼の上官の中には反対する者もいました。マヌエル1世自身もゴアの占領に疑問を呈しましたが、ポルトガルの貴族会議は国王の意向に反してゴア占領を承認しました。こうしてゴアは、ポルトガルのインドにおける重要な拠点としての地位を確立しました。

その後もゴアの放棄がたびたび議論されました。1542年と1570年には、エスタード・ダ・インディア（ポルトガル領インド）を放棄してモロッコ侵攻に集中すべきかという議論が行われましたが、最終的にポルトガルはゴアを維持し続けました。しかし、1961年、インド軍がゴアに侵攻し、ポルトガルはついにゴアを失うことになります。

ポルトガルによる占領以降、ゴアは繁栄し、一時はカリカットを超えるほどの勢いを見せました。ゴアは、ポルトガル文化とインド文化が融合した独特の文化を育み、その歴史的遺産は今日でも色濃く残っています。

関連項目

* ゴアの歴史

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