アフォンソ・デ・アルブケルケ

アフォンソ・デ・アルブケルケ：ポルトガルのインド洋制覇を導いた男

アフォンソ・デ・アルブケルケ（1453年 - 1515年12月16日）は、ポルトガルの貴族、軍人、航海者、そして植民地行政官として、その名を歴史に刻みました。彼は、インド洋におけるポルトガル帝国の勢力拡大に大きく貢献し、その戦略的な手腕と大胆な行動力で、多くの重要な拠点を獲得しました。

生涯

1453年、リスボン郊外のアリャンドラで下級貴族の家系に生まれたアルブケルケは、若い頃から軍人としての才能を発揮し、地中海や北アフリカで活動しました。1503年には、甥のフランシスコを伴い、艦隊を率いてインドへ向かいます。そこで、コーチン王からポルトガルが拠点とするための城塞建設の許可を得ました。帰国後、その功績が認められ、ポルトガル王マヌエル1世の信任を得て、1506年には第2代インド総督（副王）に内定し、16隻の艦隊を率いてリスボンを出発しました。

1507年には、紅海の入り口に位置するソコトラ島、そしてペルシア湾の要衝であるオルムズ島を占領し、その勢力を拡大します。

インド総督としての苦難と功績

1508年、マラバールにおいて、初代インド総督であるフランシスコ・デ・アルメイダにマヌエル1世からの辞令を示しますが、アルメイダとの対立により投獄されてしまいます。しかし、1509年にカリカット攻撃が失敗に終わった後、彼は北上し、1510年には当時ビジャープル王国の支配下にあったゴア島を一時的に占領します。その後、いったん引き上げますが、11月には再びゴアを恒久的に占領することに成功しました（ポルトガルによるゴア占領）。このゴアは、以後ポルトガルがアジアを支配するための拠点となり、インド総督あるいは副王の駐在地となりました。

1511年には、マレー半島における香料貿易の中継地として繁栄していたマラッカ王国の占領にも成功し、ムラカに1年間滞在してポルトガルの東南アジアにおける拠点としました。その後も、インド洋各地のイスラム港市攻撃に従事し、ポルトガルの勢力拡大に貢献しました。

失意の中での死

しかし、マヌエル1世がアルブケルケの政敵であったロポ・ソアレス・デ・アルベルガリアを後任のインド総督として派遣したことに絶望し、1515年12月16日、ゴア付近の海上で病死しました。その生涯は、征服と戦略に彩られましたが、最後は失意のうちに幕を閉じました。

遺産

アフォンソ・デ・アルブケルケの功績は、ポルトガルによるアジア進出の礎を築いたこと、そしてインド洋におけるポルトガルの覇権を確立したことにあります。彼の戦略的な手腕と大胆な行動力は、後世に大きな影響を与え、その名は今もなお語り継がれています。

関連項目

アフォンソ・デ・アルブケルケ級通報艦 - 1番艦にはネームシップとして「アフォンソ・デ・アルブケルケ」の名がつけられました。

外部リンク

アルブケルケ - 世界史の窓
* 書籍案内：B・ペンローズ、荒尾克己訳『大航海時代』2020 ちくま学芸文庫

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