ポルト湾

ポルト湾：コルシカ島の絶景と豊かな自然

フランス領コルシカ島西部、カルヴィとアジャクシオの間に位置するポルト湾は、その比類ない自然美から、1983年にユネスコの世界遺産に登録されました（2006年に名称変更）。

息を呑むような景観

ポルト湾の最大の魅力は、何と言ってもその壮大な景観です。湾を取り囲む切り立った断崖、赤い岩肌の奇岩群、エメラルドグリーンの海、そして豊かな植生のコントラストは、訪れる者を圧倒する美しさを持っています。特に、スカンドーラ半島に広がるスカンドーラ自然保護区、ジロラータ湾、そしてピアナのカランケは、ポルト湾の代表的な景勝地として知られています。

スカンドーラ自然保護区：手つかずの自然

スカンドーラ自然保護区は、1975年にコルシカ地方自然公園内に設定された厳格な保護区です。エルパ・ネラ湾とスカンドーラ半島からなり、陸上9.19平方キロメートル、海域10平方キロメートル、合計19.19平方キロメートルの広大な面積を誇ります。火山活動によって形成された赤い岩だらけの断崖、無数の洞窟、そして独特の奇岩群は、この地の歴史と自然の壮大さを物語っています。保護区内への立ち入りは制限されており、手つかずの自然が残されています。

ジロラータ湾：風光明媚な入り江

ポルト湾の北に位置するジロラータ湾（現地名：ジロラーダ）は、スカンドーラ半島の南側に広がる小さな入り江です。穏やかな湾内は、紺碧の海と緑豊かな植生のコントラストが美しく、静寂に包まれた空間が広がっています。

ピアナのカランケ：斧で切り開かれた道

ピアナのカランケは、ポルト湾の南縁に広がる、独特の地形です。「カランケ（Calanche）」とは、コルシカ語で「カランク（Calanque）」を意味し、地中海沿岸に見られる岩だらけの複雑な入り江を指します。ピアナとポルト＝オタを結ぶ道は、色鮮やかな巨岩群を縫うように走り、斧で切り開かれた道を思わせる険しさを持っています。この道からは、コルシカ島を取り巻く美しい海と、高い暗礁の上に載った島々の絶景を眺めることができます。ピアナの村は、「フランスの最も美しい村」にも選定されています。

豊かな生物多様性

ポルト湾周辺には、低木林を中心に豊かな植生が広がり、カモメ類、ウ類、ウミワシなど、様々な鳥類が生息しています。海域には、多様な海洋生物が生息しており、生物多様性の保全にとって重要な地域となっています。

世界遺産登録基準

ポルト湾は、以下の世界遺産登録基準を満たしていることから、世界遺産に登録されました。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。

ポルト湾は、その絶景と豊かな自然、そして歴史的にも重要な場所として、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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