ポルボ・ア・フェイラ

ポルボ・ア・フェイラ：ガリシアの伝統タコ料理

ポルボ・ア・フェイラは、スペイン北西部ガリシア地方の伝統的なタコ料理です。ガリシア語で「市場風タコ」を意味し、その名の通り、お祭りや市場でよく見かける料理です。スペイン語では「プルポ・ア・ラ・ガジェーガ（ガリシア風タコ）」として知られています。

調理方法

ポルボ・ア・フェイラの調理はシンプルですが、素材の良さを引き出すための工夫が凝らされています。

1. タコの準備: まず、タコを茹でる前に、足を3度お湯につけて丸めます。これは見た目を良くするためだけでなく、食感を良くする効果もあります。
2. 茹でる: 銅製の大きな鍋でタコを茹でます。茹で時間はタコの大きさによって異なりますが、40分から90分程度が目安です。茹で加減が非常に重要で、生煮えだと硬く、茹ですぎると柔らかくなりすぎてしまいます。アルデンテのパスタのように、絶妙な食感を目指します。茹で上がったら火を止め、そのまま20分ほどお湯につけておくと、より美味しく仕上がります。
3. 味付け: 茹で上がったタコをハサミで1cm程度の厚さに切り分け、粗塩、パプリカパウダー（甘口と辛口の両方）、オリーブオイルをかけます。パプリカの風味とタコの旨味が絶妙に調和します。
4. 盛り付け: 伝統的には、木の皿に茹でたジャガイモ（cachelos）と一緒に盛り付けます。

味わい方

ポルボ・ア・フェイラは、ガリシア産の若い赤ワインと一緒に楽しむのが一般的です。伝統的に、タコを食べる際に水を飲むのは良くないとされています。タコの旨味を存分に味わうためでしょうか。

文化

ガリシア地方でポルボ・ア・フェイラが親しまれてきた背景には、タコが干物として内陸部でも手に入りやすかったことがあります。近年では冷凍技術の発達により、冷凍タコが主流となっています。冷凍タコは、生のタコのように下処理で叩く必要がなく、手軽に調理できるのが魅力です。また、冷凍しても味が落ちにくいという利点もあります。

ガリシア地方のオウレンセ県やルーゴ県は、特にタコ料理が美味しいことで知られています。ルーゴの守護聖人San Froilánの祭りでは、ポルボ・ア・フェイラが欠かせない料理となっています。

ガリシアには、ポルボ・ア・フェイラ専門の料理人「ポルベイラス」が存在します。多くは女性で、手際の良い調理技術で人々を魅了します。近年では、伝統的な縁日が衰退する一方で、ポルベイラスが営むタコ料理レストランがガリシア各地に増えています。これらのレストランは、洗練された雰囲気とは異なり、気軽に立ち寄れる大衆的なお店が多いのが特徴です。

まとめ

ポルボ・ア・フェイラは、ガリシアの豊かな食文化を象徴する料理です。シンプルな調理法ながらも、素材の旨味を最大限に引き出す工夫が凝らされています。ガリシアを訪れた際には、ぜひ本場の味を試してみてください。

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