ポルーチ

ポルーチ（ロシア語: поручи, ギリシア語: επιμάνικα, 英語: epimanikia, poruchi, またはcuffs）は、正教会において手首に着用される祭服です。ポルチや籠手とも呼ばれます。この祭服は、主教、司祭、輔祭といった神品（正教会の聖職者）全員が、奉神礼を行う際に着用します。

ポルーチの主な実務的な役割は、祭服の袖を固定することです。これにより、機密の執行中における粗相を防ぐことができます。しかし、ポルーチにはそれ以上の深い象徴的な意味が込められています。

その一つは、イイスス・ハリストス（イエス・キリスト）が受難の際、両手にはめられた手錠を象徴するという点です。万物を創造した神の手が罪人を縛る手錠に収まったという事実は、計り知れない神の謙遜を表すとされています。このため、ポルーチを着用する者は、神の謙遜に倣い、自己中心的で身勝手な行動を慎むべきであると教えられます。

また、ポルーチは、宝座や聖器物に触れるために神から与えられた恩寵が、着用者の手に宿っていることを示すとも解釈されます。司祭の手は、司祭自身のものではなく、ハリストス（キリスト）に属するものであり、司祭はハリストスの業を行うということを表します。ポルーチを着用する際には、神の創造と救いの力を記憶することが重要です。

ポルーチは、単なる装飾品ではなく、深い信仰的意味を持つ祭服です。着用者はその意味を理解し、神への奉仕と謙遜の心を持って奉神礼を行うことが求められます。正教会の祭服は、単に美しいだけでなく、信仰生活において非常に重要な役割を果たしているのです。

参照元

正教会の祭服 その意味と機能 正教時報連載 コンスタンティン桝田尚神父 （日本語）
8、祭袍(フェロン) （日本語）
* 聖器物や祭服 - 日本正教会公式サイト （日本語）

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