ポンペイ (イタリアのコムーネ)

ポンペイ（Pompei）

イタリア共和国カンパニア州ナポリ県に位置する基礎自治体であり、約2万5千人の住民が暮らしています。この都市は、歴史的に世界的に有名な古代ローマ都市ポンペイの遺跡に隣接しており、その名を冠しています。現在のポンペイ市は、古代都市が紀元79年のヴェスヴィオ火山の壊滅的な噴火によって火山灰の下に埋もれた後、比較的近代になってから形成された街です。

古代遺跡との関係

古代ポンペイは、ローマ帝国の繁栄期において重要な都市でしたが、西暦79年のヴェスヴィオ火山の大噴火により、一瞬にして街全体が厚い火山灰と軽石に覆われ、約1700年もの間、地中に眠ることとなりました。現在見られるポンペイ遺跡は、この悲劇的な出来事によって時間が止まったかのような状態で保存されており、古代ローマの人々の生活や文化を伝える貴重な史跡として、世界遺産にも登録されています。一方、現在のポンペイ市は、この古代遺跡からわずかに離れた場所に、1891年に新たに建設された都市です。古代のポンペイとは直接的な継続性を持たず、全く新しい歴史を刻んでいます。

近代ポンペイの成立

現代のポンペイ市建設には、宗教的な情熱が深く関わっています。特に重要な人物として挙げられるのが、バルトロ・ロンゴ（Bartolo Longo）です。彼は、ポンペイとその周辺地域の精神的な復興を目指し、「ロザリオの聖母のバシリカ」の建設に着手しました。このバシリカの建設は、単なる教会建築にとどまらず、荒廃した地域に人々の生活やコミュニティを再構築する原動力となりました。バルトロ・ロンゴは、この功績から近代ポンペイの建設者として広く認識されています。彼の尽力によって、古代の悲劇の隣に、新たな希望を象徴する都市が誕生したと言えるでしょう。

ロザリオの聖母のバシリカ

バルトロ・ロンゴによって建設が始められたロザリオの聖母に捧げられたバシリカは、現在、世界中からカトリック教徒が訪れる重要な巡礼地となっています。特にロザリオの祈りを唱える人々にとって、この聖堂は特別な意味を持っています。壮麗なバシリカ内部には、イタリア・バロック期の著名な画家であるルカ・ジョルダーノ（Luca Giordano）による絵画をはじめとする多くの芸術作品が収蔵されており、訪れる人々に感動を与えています。宗教的な意義だけでなく、美術的な価値も高いこのバシリカは、ポンペイ市の精神的な、そして観光的な中心となっています。

行政と社会

ポンペイ市は、いくつかの分離集落（フラツィオーネ）で構成されています。これらには以下のような集落が含まれます。

Mariconda
Messigno
Ponte Nuovo
Treponti
Fontanelle
Parrelle
Ponte Izzo
Ponte Persica
Fossavalle
Chiesa della Giuliana

これらの集落は、市内の様々な地域に分散しており、それぞれが独自のコミュニティを形成しています。社会的な側面では、ポンペイ市は国際交流を積極的に推進しており、世界の様々な都市と姉妹都市提携を結んでいます。主な姉妹都市は以下の通りです。

イタリア：ラティアーノ（Latiano）
スペイン：タラゴナ（Tarragona）
中国：西安市（Xi'an）
韓国：慶州市（Gyeongju）
中国：麗江市（Lijiang）
イスラエル：テルアビブ（Tel Aviv）

これらの提携を通じて、文化、教育、観光など多岐にわたる分野での交流が行われています。

まとめ

ポンペイ市は、古代ローマの悲劇的な歴史を背景に持ちながらも、近代において信仰心とコミュニティの力によって新たに築かれた都市です。古代遺跡が過去の栄光と悲劇を物語る一方で、現代のポンペイ市は、ロザリオの聖母バシリカを中心とした信仰生活、そして多様な分離集落や国際的な姉妹都市との交流を通じて、独自の文化と活気を育んでいます。約2万5千人の住民は、古代の遺産と共に、現代の街での生活を営んでいます。

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