タラゴナ

タラゴナ：歴史と現代が交差するカタルーニャの都市

スペインのカタルーニャ州に位置するタラゴナは、歴史と現代が融合する魅力的な都市です。古代ローマ時代の繁栄を今に伝える数々の遺跡と、活気あふれる港湾都市としての側面を併せ持ち、多くの観光客を惹きつけています。

ローマ帝国の栄光：タッラコ

紀元前218年にローマ軍が着陸し、その後ヒスパニア・タッラコネンシス州の州都として発展したタラゴナは、かつてタッラコと呼ばれていました。2000年の歴史を刻むこの地には、古代ローマ時代の威容を今に伝える建造物が数多く残されています。

特に有名なのが、ユネスコの世界遺産「タッラコの考古遺跡群」に登録されている遺跡群です。円形劇場、ラス・ファレーラス水道橋、サント・アントーニの門、バラーの凱旋門など、ローマ時代の高度な建築技術と都市計画を垣間見ることができます。円形劇場は1世紀に建造され、その後12世紀には教会が建てられた歴史を持つ、まさに歴史の層を重ねた場所です。ラス・ファレーラス水道橋は、市街から4km離れた場所に位置し、その壮大さは今も人々を圧倒します。これらの遺跡は、当時のローマ帝国の繁栄と高度な文明を象徴する貴重な遺産と言えるでしょう。

中世から現代へ：変遷と発展

5世紀には西ゴート王国、8世紀にはウマイヤ朝の支配下に入り、町が破壊されるなどの苦難を経験したタラゴナでしたが、1118年にバルセロナ伯ラモン・バランゲー3世に征服されると、再びキリスト教世界へと復帰しました。ラモン・バランゲー3世は町を再建し、大司教座を置くなど、都市としての復興に尽力しました。その後はアラゴン連合王国の一部として発展を続け、1991年には公立大学のルビーラ・イ・ビルジーリ大学が開学するなど、教育面でも発展を遂げています。

地理と交通：地中海に抱かれた都市

タラゴナは地中海に面し、フランコリ川の河口左岸に位置しています。面積、人口ともに同地を中心とするコマルカで最大であり、バルセロナから約80km、サラゴサから約200kmの距離に位置しています。

交通面では、1856年に開業したタラゴナ駅をはじめ、2006年にはマドリードからAVE高速鉄道が開通するなど、陸路のアクセスも良好です。AVEの駅はタラゴナ市から北に8km離れた場所にあるものの、マドリードから約3時間で到着でき、バルセロナからも1時間から1時間半でアクセスできます。

観光と文化：魅力あふれる都市

タラゴナは、古代ローマ時代の遺跡以外にも、多くの観光スポットがあります。12世紀に建設が始まり、15世紀に完成したタラゴナ大聖堂は、ロマネスク様式からバロック様式への変遷を見せる美しい建築物です。また、地中海のバルコニーと呼ばれる遊歩道からは、地中海の美しい景色を堪能できます。

さらに、タラゴナの近くには、サロウというリゾート地があり、ヨーロッパ有数のテーマパークであるポルタベントゥーラも存在します。毎年9月23日に行われるサンタ・テクラ祭は、人間の塔を作ることで有名で、地元住民の活気と伝統文化を感じることができます。

世界遺産：タッラコの考古遺跡群

タラゴナの古代ローマ時代の遺跡は、2000年にユネスコの世界遺産「タッラコの考古遺跡群」として登録され、2021年には名称変更されました。世界遺産登録基準(2)と(3)を満たしており、人類の文化遺産として重要な意義を持っています。

まとめ

タラゴナは、歴史と現代が調和した魅力的な都市です。古代ローマ時代の遺跡、美しい海岸線、活気あふれる街並み、そして近隣の観光地など、多くの見どころがあります。スペインを訪れる際は、ぜひタラゴナにも足を運んでみてください。

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