ポーシャ・ウッドマン

ポーシャ・ウッドマン＝ウィクリフ（Portia Woodman-Wickliffe）

ニュージーランド出身の女子ラグビー選手、ポーシャ・ウッドマンは、1991年 7月12日に生まれました。結婚後は夫の姓を冠し、ポーシャ・ウッドマン＝ウィクリフとして活動しています。彼女は、7人制（セブンズ）と15人制ラグビーの両方で世界のトップレベルに君臨し、卓越したトライ能力で女子ラグビー界を牽引する、まさにアイコン的存在です。

生い立ちとキャリアの始まり

ウッドマンは、スポーツ界、特にラグビーにおいて輝かしい実績を持つ家族に育ちました。父のカウェナ・ウッドマンや叔父のフレッド・ウッドマンはニュージーランド代表「オールブラックス」として活躍し、もう一人の叔父、リチャード・ウッドマンも国内リーグでプレー経験があります。さらに、叔母のテ・アロハ・キーナンはネットボールのニュージーランド代表「シルバーファーンズ」の元選手でした。彼女自身もニュージーランドの先住民、マオリ族（ガプヒ族）の誇りを持っています。

彼女のキャリアはラグビーから始まったわけではありません。2012年にはネットボールのプロリーグでプレーしていました。同年、ラグビーセブンズに転向すると、すぐにその才能を開花させ、ニュージーランド代表としてオセアニア選手権で国際舞台にデビューしました。2012-13シーズンのワールドシリーズでは最多得点を記録し、2013年のラグビーワールドカップ・セブンズではチームを優勝に導き、自身も大会の最高得点者となるなど、華々しいスタートを切りました。同年、15人制ニュージーランド代表「ブラックファーンズ」にも選ばれ、代表デビューを果たしています。

セブンズでの輝かしい功績

ポーシャ・ウッドマンは、セブンズにおいて歴代屈指のトライゲッターとしてその名を馳せています。特に、2014-15シーズンのワールドラグビー女子セブンズシリーズでは、シーズン中に52トライという驚異的な記録を樹立。これは、男女を通じても数少ない偉業であり、女子選手としては史上初めて1シーズンでの50トライ超えを達成した歴史的な記録です。この卓越したパフォーマンスが認められ、2015年にはワールドラグビー女子セブンズ年間最優秀選手に選出されました。オリンピックにおいてもその決定力を遺憾なく発揮し、2016年のリオデジャネイロ大会では銀メダル獲得に貢献。続く2021年の東京大会、そして2024年のパリ大会では、ニュージーランド代表の中心選手として、2大会連続の金メダル獲得の立役者となりました。長きにわたり世界のトップレベルでプレーし続け、HSBC SVNS 2023-24シーズン中には国際セブンズ出場50大会という節目を迎えています。

15人制での活躍と結婚

セブンズでの成功に加え、15人制ラグビーにおいてもニュージーランド代表として重要な選手でした。女子ラグビーワールドカップでは、2017年大会でチームの優勝に貢献するとともに、個人としても大会最多トライ（13）と最多得点（65）を記録しました。続くラグビーワールドカップ2021（新型コロナウイルスの影響で2022年に開催）でもニュージーランドの2連覇に貢献。決勝トーナメントのオーストラリア戦ではハットトリックを達成するなど、ここでもその決定力は健在でした。

私生活では、15人制ニュージーランド代表のチームメイトであったレニー・ウィクリフと長年にわたり交際し、2022年12月に結婚しました。以降、夫婦でポーシャ・ウッドマン＝ウィクリフ、レニー・ウッドマン＝ウィクリフと夫婦連名姓を使用しています。パートナーも元代表選手であり、後に指導者としても活動しています。

日本での活動と今後の展望

2024年10月下旬から2025年2月上旬にかけて、日本の女子チームである三重パールズに短期間所属し、日本のファンにそのプレーを披露しました。この期間、パートナーのレニーも同チームのアシスタントコーチとして帯同し、日本での時間を共に過ごしました。

一度は代表引退も示唆していましたが、2025年4月にはその決断を撤回。通算3度目となる女子ラグビーワールドカップ2025への出場を目指す意向を表明しており、今後の活躍が再び注目されています。

主な受賞歴

ポーシャ・ウッドマンは、選手としての傑出した功績に対し、数々の賞を受賞しています。特にワールドラグビーからは、女子15人制年間最優秀選手賞を2015年と2017年の2度受賞。また、2020年にはワールドラグビー女子セブンズ10年間最優秀選手に選出されるなど、セブンズにおける長期的な貢献も高く評価されています。その他にも、2017年にはマオリ・スポーツウーマン・オブ・ザ・イヤーを受賞し、2022年にはワールドラグビー女子15人制ドリームチームにも選出されるなど、その実力は広く認められています。

結び

ポーシャ・ウッドマン＝ウィクリフは、家族から受け継いだスポーツの才能と、自身の弛まぬ努力、そしてパートナーとの支え合いによって、女子ラグビー界における最も偉大な選手の一人としての地位を確立しました。セブンズでの圧倒的なスピードと決定力、15人制での力強いプレー、そして数々の記録とメダルは、彼女が残した歴史的な功績を物語っています。常に高みを目指し続ける彼女の挑戦は、世界中の多くのラグビーファンやアスリートにインスピレーションを与え続けています。

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