三重パールズ

PEARLS（パールズ）

PEARLS（パールズ）は、三重県四日市市を本拠地とする女子ラグビーユニオンのトップチームである。正式名称はMie Women's Rugby Football Club PEARLS。地域に根差した活動を行いながら、全国レベルでの優勝を目指し、女子ラグビーの普及・発展に貢献している。また、U18以下の若い世代の育成にも力を入れており、PEARLSジュニアを組織している。

設立と目標

チームの歴史は、2016年3月に一般社団法人PEARLSが設立されたことに始まる。同年5月には、チーム本体が正式に発足した。設立当初に掲げられた大きな目標の一つは、地元三重県で2021年に開催が予定されていた「第76回三重とこわか国体」での優勝であった。チームを率いる初代監督には、高校ラグビー界で実績を持つ記虎敏和氏が就任し、チーム強化が本格的にスタートした。

チームの歩み

設立からわずか1年後の2017年、チームは早くも頭角を現す。第19回女子ラグビー関西大会で初優勝を飾り、地域の強豪としての地位を確立した。全国大会では、第3回全国女子ラグビーフットボール選手権大会に追手門学院大学VENUSとの合同チーム「VEELS」として挑み、決勝まで勝ち進んで準優勝という notable な成績を残した。また、7人制ラグビーの国内最高峰リーグである太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに参戦を開始し、2017年の第4戦（富士山裾野御殿場大会）で優勝。入替戦をトップ通過し、翌年度からの上位グループである「コアチーム」への昇格を決めた。

2018年も好調を維持し、第20回女子ラグビー関西大会で連覇を達成。全国選手権では、寝屋川との合同チーム「PEARLS・寝屋川」として2年連続で決勝に進出したが、再び準優勝となった。同年3月には、初代監督の記虎氏が退任。セブンズシリーズでは、第2戦の秋田大会と第3戦の富士山裾野御殿場大会で優勝し、年間総合順位で2位という素晴らしい結果を残し、7人制での実力も全国に示した。

2019年には、PEARLSを含む複数チームの合同チーム「Blue Peaglets」として、第21回女子ラグビー関西大会と第5回全国女子ラグビーフットボール選手権大会に出場し、それぞれ優勝、準優勝という成績を収めた。チームの視野は国内に留まらず、同年にはニュージーランドとマレーシアへの初の海外遠征を実施し、国際経験を積んだ。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2019では、第2戦の東京大会で優勝し、年間総合で3位となった。地域との連携もさらに深まり、同年11月には四日市市との間でホームタウン包括連携協定が締結された。

2020年に入り、チームの組織運営体制の強化が進められた。同年4月、斎藤久氏がゼネラルマネージャーに就任。6月には、四日市市内にクラブハウスを開設し、選手の活動拠点として整備した。育成部門のPEARLSジュニアも成長を見せ、同年10月の第3回全国U18女子セブンズラグビーフットボール大会では5位に入賞し、プレートトーナメントで優勝を飾るなど、将来を担う選手たちの育成にも成果が現れ始めた。

チームにとって歴史的な年となったのが2021年である。この年、PEARLSは第7回全国女子ラグビーフットボール選手権大会の決勝戦で見事なパフォーマンスを披露し、チーム設立以来となる悲願の初優勝を達成した。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2021でも、第2戦の静岡エコパ大会で優勝を飾り、年間総合で3位となった。設立当初の目標であった第76回三重とこわか国体は、新型コロナウイルス感染症の影響により残念ながら中止となったが、第24回女子ラグビー関西大会では優勝を果たし、地域大会での強さを示し続けた。

2022年は、再び新型コロナウイルス感染症の影響に見舞われた。チーム内で濃厚接触者が多数確認されたため、第8回全国女子ラグビーフットボール選手権大会への出場を辞退するという苦渋の決断を余儀なくされた。しかし、チームは困難を乗り越え、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2022では年間総合4位と健闘した。そして、この年に開催された第77回いちご一会とちぎ国体では、見事に優勝を果たし、全国の舞台で再び頂点に立った。さらに、第25回女子ラグビー関西大会でも優勝し、同大会での6連覇という偉業を達成した。

2023年4月には、元ニュージーランド女子代表選手のジャンナ・ヴォーン氏がヘッドコーチに就任し、チームは新たな指導体制のもと強化を進めている。2024年の第10回全国女子ラグビーフットボール選手権大会では、3年ぶりに決勝に進出し、準優勝という結果を残し、常に日本の女子ラグビー界のトップグループに位置していることを証明した。

練習環境

PEARLSは、日々の練習を主に四日市メリノール学院ラグビー場で行っている。その他にも、四日市市中央フットボール場（四日市市中央陸上競技場）や、コスモ石油ルブリカンツ四日市トレーニングセンターなどの施設を利用し、充実したトレーニング環境を確保している。

チームを彩る選手たち

PEARLSには、女子日本代表や7人制女子日本代表として世界を舞台に活躍する多くの選手が在籍、あるいは過去に所属していた。チームの象徴的な存在だった元キャプテンの齊藤聖奈氏をはじめ、山中美緒氏、末結希氏、保井沙予氏、玉井希絵氏、庵奥里愛氏、伊藤優希氏、谷口琴美氏、北野和子氏、細川恭子氏、西村蒼空氏など、日本のトップ選手たちが名を連ねる。また、マテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェ氏のような日本代表選手や、サラ・ヒリニ氏、シャキーラ・ベイカー氏（ニュージーランド）、ロリ・クライマー氏（オーストラリア）、ティマイマ・ラヴィサ氏（フィジー）といった海外の代表経験を持つ選手もチームに貢献し、国際色豊かなチームとなっている。現在のチームをまとめるキャプテンは三谷咲月氏である。ヘッドコーチのジャンナ・ヴォーン氏も、選手としてニュージーランド代表のキャップを持つ。

主な獲得タイトル

PEARLSは、国内の主要大会で数々のタイトルを獲得している。

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ 優勝：
2017年度：富士山裾野御殿場大会
2018年度：秋田大会、富士山裾野御殿場大会
2019年度：東京大会
2021年度：静岡エコパ大会
国民体育大会 優勝：
2022年：第77回いちご一会とちぎ国体
全国女子ラグビーフットボール選手権大会 優勝：
* 2021年：第7回全国女子ラグビーフットボール選手権大会

地域との連携

特に、四日市メリノール学院中学校・高等学校とは密接な関係を築いている。PEARLSジュニアの選手の多くが同校に在学しており、同校のラグビー場はチームの主要な練習グラウンドとしても利用されている。こうした地域との繋がりを大切にしながら、PEARLSは女子ラグビーの普及・発展に貢献し続けている。

まとめ

PEARLSは、2016年の設立から短期間で日本の女子ラグビー界をリードする強豪チームへと成長した。全国選手権優勝、セブンズシリーズ複数回優勝、国体優勝、関西大会6連覇など、輝かしい実績を積み重ねている。豊富な日本代表選手、海外経験を持つコーチングスタッフ、そして地域との強固な連携を基盤に、PEARLSはこれからも女子ラグビーの更なる高みを目指し、活動を続けていく。

もう一度検索