ゴム

ゴムとは

ゴムは、元々植物から得られる軟質の高分子物質で、現在では主に天然ゴムと合成ゴムを指します。国際規格や日本産業規格では、ゴムとは高い弾性を持つ物質であり、元に戻る力が強く、基本的には溶媒に溶けにくいことが定義されています。日本語の「ゴム」とは、通常は弾性ゴムを指しますが、他にもアラビアゴムやチューインガムの材料などがあります。

歴史

ゴムの歴史は古く、1490年代にコロンブスによってヨーロッパに伝えられたことが起源です。その後、1736年にはフランスの探検家が南米の原住民がゴムを利用していることを報告し、実用化が進みました。19世紀末にはグッドイヤーによる加硫の発見により、ゴム工業が盛んになりました。

天然ゴムと合成ゴム

天然ゴム

天然ゴムは主に、ゴムノキから採取された樹液に含まれるcis-ポリイソプレンで構成されており、弾性の高い特性を持っています。硫黄による加硫により、さらにその特性が向上します。天然ゴムは主に、タイやマレーシアなどの熱帯地域で生産されています。

合成ゴム

一方、合成ゴムは人工的に合成された物質で、1950年代以降に技術が開発され急速に普及しました。合成ゴムにはさまざまなタイプがあり、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴムなどがあります。これらは特定の用途に応じて特性が設計されており、自動車や医療機器など多岐にわたる分野で使われています。

物理的特徴

弾性ゴムは高い弾性限界を持つ一方、弾性率は低いため、非常に柔軟な特性を示します。外部の力が加わると大きく変形しますが、力を外すと素早く元に戻る特性があります。

弾性ゴムの構造

ゴムの弾性は、分子間の結合により成立しており、特殊な三次元ネットワーク構造をとります。これにより分子同士が強く結びつく一方で、外部の力に対して柔軟に反応することが可能です。

劣化と老化

ゴムは時間経過とともにその特性が変わるため、劣化や老化が進行します。光や温度、湿度の変化などがその原因となります。このため、耐候性や耐熱性、耐油性を考慮した製品設計が重要です。

用途

ゴムはその性能から多岐にわたって利用されています。自動車のタイヤやホース、工業製品としてのシール材、さらには家庭用品や玩具に至るまで、私たちの生活の中に深く根ざしています。特に、自動車用のタイヤには約75%が使用されています。

工業的利用

ゴムは電線の被覆材やシール材、免震ゴムなどにも使われ、幅広い産業で欠かせない存在となっています。また、一般家庭向けには雨具や手袋、消しゴムなど多様な製品が存在し、私たちの日々の生活を支えています。

結論

ゴムは、その特異な特性からさまざまな用途に利用され続けています。歴史的背景や物理的特性、劣化の課題に対処しながら、今後も新たな素材としての可能性が期待されます。

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