ポーラ・ネグリ

ポーラ・ネグリ

ポーラ・ネグリ（Pola Negri、1897年1月3日 - 1987年8月1日）は、ポーランド出身の著名な女優で、サイレント映画時代にその名を馳せました。彼女の本名はバルバラ・アポロニア・ハウピェツ（Barbara Apollonia Chałupiec）で、芸名の「ネグリ」はイタリアの詩人アダ・ネグリに由来しています。彼女は特に妖艶な悪女役で知られ、大スターとしての地位を確立しました。

来歴

ポーラ・ネグリは、当時ロシア帝国領だったポーランドのリプノに生まれました。彼女の母は没落した貴族の出身で、父はスロバキア出身の職人でした。父親はロシアに対する抵抗運動に関与して逮捕され、シベリアに流刑となり、残された母子はワルシャワに移ることに。ワルシャワではバレエのダンサーとしての訓練を受けましたが、病気でその夢を諦め、演技の道を選びました。第一次世界大戦が終わる頃には、彼女はワルシャワで人気の舞台女優としての地位を確立していました。

彼女の強烈な個性と気性は、著名な演出家マックス・ラインハルトの目に留まりました。ラインハルトの舞台での主演がきっかけでベルリンに移り、映画界の大物プロデューサー、パウル・ダーフィドゾンと出会います。ダーフィドゾンは、ネグリを主演女優に迎え、エルンスト・ルビッチが監督を務めた『呪の眼』などの映画を手がけ、彼女は広く知られるようになりました。

1920年代には、日本の俳優チャールズ・チャップリンとの婚約や、ルドルフ・ヴァレンティノとのロマンチックな関係が注目を集めました。特にヴァレンティノの死後、彼女の行動はメディアを賑わせました。彼女は彼との結婚を約束していたと言い張り、彼の遺体を追いかけてポーズを取ったことで大きな騒ぎとなりましたが、これが原因で彼女のキャリアは徐々に下降線をたどります。

ネグリは1927年、グルジアの王子を名乗る男性と結婚しますが、流産や夫の投資失敗が重なり、1930年には離婚しました。その後トーキーに移行して、1932年には『A Woman Commands』に主演。映画は大きな成功を収めることはありませんでしたが、彼女が歌った楽曲がヒットしました。

1934年以降、再びヨーロッパに戻ってドイツ映画に出演し、いくつかのヒット作品を残しました。彼女はヒトラーからプロパガンダ映画への出演を求められるも、それを拒否しフランスに移住しました。この間、彼女は「ヒトラーの愛人」と報道されたこともありましたが、これを訴訟で勝ち取るなど、強い意志を見せました。

1940年、フランスを去りアメリカに戻ったポーラ・ネグリは、戦後も映画や舞台に出演を続けましたが、往年の栄光は薄れていました。ビリー・ワイルダーからの主演オファーを断った後は、主に活動を北米で行い、1951年にアメリカの市民権を取得します。

彼女の最後のフィルムは1964年の『クレタの風車』であり、その後、親友との生活を終えて1987年にサンアントニオで息を引き取りました。ネグリは、独特のキャリアと波乱万丈な恋愛模様、強い個性で知られ、今なお多くの映画ファンに記憶されています。

主な出演作品

• - 官能の奴隷 Niewolnica zmysłów (1914)
• - 呪の眼 Die Augen der Mumie Ma (1918)
• - カルメン Carmen/Gypsy Blood (1918)
• - 寵姫ズムルン Sumurun (1920)
• - マヅルカ Mazurka (1935)
• - Hi Diddle Diddle (1943)

外部リンク

• - ポーラ・ネグリ - IMDb
• - The POLA NEGRI Appreciation Site

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