ポーラ・レゴ

マリア・ポーラ・フィゲロア・レゴ

マリア・ポーラ・フィゲロア・レゴ（1935年1月26日 - 2022年6月8日）は、ポルトガルの画家、イラストレーター、版画家であり、その作品は独自の視点と挑発的なテーマが特徴です。彼女は裕福な家庭に生まれ、幼少期から芸術に触れ、影響を受けました。

経歴

レゴはリスボンで生まれ育ちましたが、彼女の成長期はポルトガルの独裁政権下にあり、その影響は彼女の作品にも色濃く反映されています。若い頃、彼女はカルカベロスにあるSt Julian's Schoolで学び、その後、イギリスのスレイド美術学校へと進学しました。ここで、彼女は画家のヴィクター・ウィリングと出会い結婚。二人はポルトガルとイギリスを行き来しながら生活していましたが、1975年にイギリスに永住することを決断しました。

しかし、1988年にウィリングが病に倒れたため、レゴは大きな悲しみを経験します。それ以降、彼女は義理の息子である彫刻家ロン・ミュエクと共に自身のアートの道を模索し続けました。レゴの功績は多く認められ、1989年にはターナー賞の候補に、2005年にはオックスフォード大学から名誉文学博士号を授与されています。

作品

レゴのアートスタイルは、1960年代から1970年代にかけて形成されていきました。彼女の初期の作品は、ネオ・ダダイズムの影響を受けたもので、コラージュやミクスドメディアが使われています。さらに、子供の視点を取り入れたようなフェティシュでトラウマ的な表現が特徴です。また、彼女はロンドン・グループの一員としてデイヴィッド・ホックニーやR・B・キタイと共に展覧会を開き、名声を高めました。

レゴの作品は、物語性が強く、しばしば童話に関連したイメージが使われていますが、その裏には人間の悪意や支配の構造、自然の秩序の崩壊といったテーマが隠れています。たとえば、彼女の代表作である『トリプティク』（1998年）は妊娠中絶に関する深刻なメッセージを持っています。

作品における動物の描写も重要で、彼女の後の作品ではリアルな描写が施されるようになりますが、動物に対する興味は失われていません。特に、1990年代の『ドッグ・ウーマン』シリーズでは、多様なポーズを取る女性たちと犬が描かれています。彼女はまた、肖像画においても重要な役割を果たしており、ジャーメイン・グリアやジョルジェ・サンパイオ大統領の公式肖像画も手掛けました。

レゴの美術は、家族や社会、権力構造の複雑な関係を反映し、見る者に強いメッセージを伝えます。彼女の作品は今もなお、観る者に強い衝撃と感動を与え続けています。

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