ポール・コゾフとは？意味をやさしく解説

ポール・コゾフ：早逝の天才ギタリスト、その音楽的遺産

ポール・コゾフ（Paul Kossoff, 1950年9月14日 - 1976年 3月19日）は、イギリスのギタリストであり、ブルースロック・バンド、フリーのギタリストとしてその名を知られています。彼の音楽キャリアは、短いながらも強烈な印象を残し、多くのギタリストに影響を与えました。

生い立ちと音楽への目覚め

俳優デヴィッド・コゾフを父に持ち、裕福な家庭で育ちました。父親の仕事を通じてエンターテイメントの世界に触れる機会が多く、幼い頃から音楽への興味を抱きます。ギターのレッスンを受けたり、楽器店で働くなどして技術を磨き、16歳でブルース・バンド、ブラック・キャット・ボーンズに加入。このバンドでの演奏がピーター・グリーンの目に留まり、ブリティッシュ・ブルースシーンで頭角を現しました。

フリーでの成功と挫折

ポール・ロジャースとの出会いをきっかけにブラック・キャット・ボーンズを脱退し、1968年にフリーを結成。1970年には「オール・ライト・ナウ」などのヒット曲を連発し、一躍スターダムにのし上がります。しかし、コゾフは薬物依存に苦しみ、バンドは度々活動を休止。1972年にフリーを脱退しました。この時期から、コゾフの心身は徐々に蝕まれていきます。

その後の活動と早すぎる死

1973年からはバック・ストリート・クローラーとして活動し、ソロアルバムも発表しますが、薬物依存は深刻化の一途を辿ります。1976年、心臓病により25歳という若さでこの世を去りました。

プレイスタイルと使用楽器

コゾフのプレイスタイルは、ブルースロックを基調とした、感情豊かでメロディアスなギターが特徴です。特に、泣きのギターと呼ばれる、深い情感を込めた演奏は、多くのファンを魅了しました。フリーの楽曲「タイム・アウェイ」では、約5分間にわたり、彼の真骨頂とも言えるギターソロを聴くことができます。

愛用したギターは、ギブソン・レスポールとフェンダー・ストラトキャスターです。レスポールは、ナチュラル、サンバースト、レモン（トラ目）など、様々なカラーのものを所有していました。特に、ナチュラル色のレスポールは、1970年のワイト島フェスティバルやテレビ番組「ビート・クラブ」で使用され、彼の象徴的なギターとして知られています。また、アルバム『バック・ストリート・クロウラー』のジャケットに写っている白いストラトキャスターは、彼の死後、アイアン・メイデンのギタリスト、デイヴ・マーレイの手に渡り、2009年にはフェンダーから「デイヴ・マーレイ・シグネチャー・モデル」として再現されました。

ディスコグラフィ

ソロ・アルバム

『バック・ストリート・クロウラー』 (1973年)
『彷徨える魂』 (1977年) ※コンピレーション
『LIVE AT CROYDON FAIRFIELD HALLS』 (1983年) ※ライブ
『ブルー・ソウル』 (1986年) ※コンピレーション

バック・ストリート・クローラー

『バンド・プレイズ・オン』 (1975年)
『2番街の悲劇』 (1976年)

フリー

『トンズ・オブ・ソブス』 (1968年)
『フリー』 (1969年)
『ファイアー・アンド・ウォーター』 (1970年)
『ハイウェイ』 (1970年)
『フリー・ライヴ』 (1971年)
『フリー・アット・ラスト』 (1972年)
『ハートブレイカー』 (1973年)

ポール・コゾフ、サイモン・カーク、テツ・ヤマウチ、ジョン・ラビット・バンドリック

『コゾフ／カーク／テツ／ラビット』 (1972年)

ポール・コゾフ