ポール・ジェルベー

ポール・ジェルベー（Paul Gervais, 1816年9月26日 - 1879年2月10日）は、フランスの著名な古生物学者、昆虫学者です。パリで誕生し、医学博士号と理学博士号を取得後、その学術的なキャリアをスタートさせました。

生涯と業績

1835年、ジェルベーは国立自然史博物館の比較解剖学研究室で助手として働き始め、古生物学の研究に足を踏み入れました。1841年には、モンペリエ大学の理学部において動物学と比較解剖学の教授に就任し、1856年には学部長に任命されるなど、教育者としての手腕も高く評価されました。

1848年から1852年にかけて、ジェルベーは重要な著作である『フランスの動物学と古生物学』を発表しました。この著作は、ジョルジュ・キュヴィエとアンリ・ブランヴィルの古生物学研究を補完するものであり、1859年には大幅に改訂された第二版が出版されています。この著作は、当時の古生物学研究に大きな影響を与えました。

1865年には、ルイ・ピエール・グラチオレの死によって空席となったソルボンヌ大学の動物学教授の職を引き継ぎました。しかし、1868年にはその職を辞し、パリの自然史博物館の比較解剖学の責任者となりました。この間、博物館の解剖学的コレクションを大幅に充実させ、その後の研究活動に大きな貢献を果たしました。1879年2月10日、パリにてその生涯を閉じました。

化石コレクション研究

アルゼンチンの古生物学者フロレンティーノ・アメギノによれば、ジェルベーはブエノスアイレス州知事フアン・マヌエル・デ・ロサスから提供された化石コレクションを研究したとされています。このコレクションは、もともとフランシスコ・ハビエル・ムニスの寄贈によるものでした。

後世への影響

ジェルベーの貢献は、分類学の分野においても顕著であり、以下の生物の学名にその名が残されています。

ヘビの一種 Calamaria gervaisii
クジラ目ハクジラ科の種、ヒガシアメリカオウギハクジラ（Mesoplodon europaeus）

これらの生物は、彼の研究が現代においても重要な足跡を残していることを示しています。

主な著書

ジェルベーは、数多くの著作を通じて、その研究成果を社会に還元しました。以下に主な著作を挙げます。

シャルル・アタナース・ウォルクネールとの共著 Histoire naturelle des insectes (4 vols., 1836–1847)
Zoologie et paléontologie françaises (1848–1852)
Histoire naturelle des Mammifères (1853)
ピエール＝ジョゼフ・ファン・ベネデンとの共著 Zoologie médicale (1859)
Recherches sur l'ancienneté de l'homme et la période quaternaire (1867)
Zoologie et Paléontologie générales (1867)
ピエール＝ジョゼフ・ファン・ベネデンとの共著 Ostéographie des cétacés vivants et fossiles (1869)

初記載種

ジェルベーは、多くの生物種を最初に記載した研究者でもあります。

Brachistosternus ehrenbergii
ヒガシアメリカオウギハクジラ

参考文献

この記事は、以下の百科事典の記述を参考に作成されました。

Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Gervais, Paul". Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 11 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 907.


ジェルベーの生涯と研究は、19世紀の古生物学、動物学の発展に大きく貢献しました。彼の残した業績は、今日においても高く評価され、後世の研究者たちに大きな影響を与え続けています。

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