ポール・トンプソン (ミュージシャン)

ポール・トンプソン：ロキシー・ミュージックを支えた名ドラマー

ポール・トンプソン（Paul Thompson、1951年 5月13日 - ）は、ロキシー・ミュージックのドラマーとしてその名を知られる、イングランド出身のミュージシャンです。彼の音楽キャリアは、幼少期の音楽への興味から始まり、数々のバンドを経て、最終的にロキシー・ミュージックという革新的なバンドの一員として花開きました。

生い立ちと音楽への目覚め

トンプソンは、イングランド北東部のニューカッスル・アポン・タインで生まれ、幼少期をジャローで過ごしました。中学校の音楽の授業でドラムに触れたことがきっかけで、ドラム演奏に強い興味を持つようになります。彼はアルバイトをしてドラム・キットを購入し、1965年には地元のユースクラブで演奏活動を開始しました。

プロの道へ

15歳で学校を中退後、トンプソンはThe Tymeを離れ、The Urgeというバンドに加入。その後、金属細工の見習いとして働く傍ら、週7日もの演奏活動を続けましたが、仕事中の居眠りが原因で解雇され、17歳でプロのミュージシャンとしての道を歩み始めます。クラブでの演奏活動を通じて様々なバンドに参加しましたが、大きな成功には至りませんでした。

ロキシー・ミュージックへの加入

1971年、トンプソンは音楽雑誌「メロディ・メイカー」に掲載されていた「アヴァンギャルド・ロックのバンド」のドラマー募集広告を目にし、応募します。その電話を受けたのが、ブライアン・フェリーでした。当時フェリーは、グラハム・シンプソンと共にバンドを結成しようとしており、初代ドラマーの脱退後、後任を探していました。トンプソンのオーディションは見事成功し、彼はロキシー・ミュージックの一員となります。

ロキシー・ミュージックは、ブライアン・フェリーの個性的なボーカルと、グラムロック、アール・ロック、実験音楽などを融合させた独自の音楽性で、1970年代の音楽シーンに大きな影響を与えました。トンプソンは、その卓越したドラムテクニックでバンドのサウンドを支え、ファンからは「The Great Paul Thompson」と称えられました。1974年には、彼が作曲したインストゥルメンタル曲「Your Application Failed」がシングルのB面として発表されています。また、ロキシー・ミュージックでの活動と並行して、フェリーや他のメンバーのソロ・アルバム制作にも協力しました。

その後

ロキシー・ミュージックは1976年に一時解散。トンプソンは、フェリーのソロ活動に参加し、シングルやアルバムの制作、ワールド・ツアーに同行しました。1978年にはロキシー・ミュージックが再結成され、トンプソンも参加しましたが、音楽性の違いから再び脱退。その後、ゲイリー・ムーアやジョナサン・パーキンスらと活動し、エンジェリック・アップスターツやコンクリート・ブロンドといったバンドでもドラムを担当しました。2001年には、ロキシー・ミュージックの再結成ツアーに参加。2002年にはフェリーのアルバム制作にも協力し、ツアーにも参加しています。

2019年には、ロキシー・ミュージックがロックの殿堂入りを果たし、トンプソンも受賞者の一人としてその栄誉を称えられました。

影響と評価

トンプソンのドラムプレイは、多くのミュージシャンに影響を与えています。デュラン・デュランのドラマー、ロジャー・テイラーも、トンプソンのドラミングから大きな影響を受けたと語っています。

ポール・トンプソンは、ロキシー・ミュージックのサウンドを支えた重要なメンバーであり、彼の音楽への情熱と才能は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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