ブライアン・フェリー
ブライアン・フェリー（Bryan Ferry, CBE、1945年9月26日 - ）は、イングランド出身のロックミュージシャン、シンガー、作曲家です。彼は、ロキシー・ミュージックの創設メンバーであり、その音楽性とカリスマ性で一世を風靡しました。また、ソロアーティストとしても独自の音楽世界を追求し、数々の名作を発表しています。
フェリーは、イギリスのダラム州ワシントンで労働者階級の家庭に生まれました。幼少期から音楽に親しみ、5歳でピアノを習い始めます。叔母の影響でナット・キング・コール、ビリー・エクスタインなどの78回転レコードを聴き、1950年代のポピュラー音楽に触れました。
1963年にはアマチュアのソウルバンド、バンシーズでシンガーとして活動を開始。その後、ニューカッスル大学で美術を学びながら、ザ・ガス・ボードというバンドでヴォーカルを務めました。このバンドには、後にロキシー・ミュージックを共に結成するグラハム・シンプソン、ジョン・ポーター、そして映画監督となるマイク・フィギスがいました。
1968年に大学を離れてロンドンに移ったフェリーは、美術講師をしながら作曲活動を始めます。1970年にはキング・クリムゾンのオーディションを受けますが不合格となり、その際にロバート・フリップから紹介された人物を通して、後のバンド結成につながるキーボーディストのアンディ・マッケイと出会いました。
1971年、フェリー、マッケイ、シンプソンを中心に、ブライアン・イーノが加わり、ロキシー・ミュージックが結成されます。グラム・ロック全盛期にデビューした彼らは、特異な音楽スタイルと奇抜なファッションで瞬く間に人気を博しました。フェリーは、そのソングライティングの中心として、バンドを牽引しました。
1973年、フェリーはソロアルバム『愚かなり、わが恋』を発表しました。このアルバムは、ボブ・ディラン、ビーチ・ボーイズ、ローリング・ストーンズ、ビートルズなどのカバー曲で構成され、全英アルバムチャートで最高位5位を記録する大ヒットとなりました。その後も、『アナザー・タイム、アナザー・プレイス』など、カバー曲を中心としたアルバムを発表し、独自の音楽性を打ち出しました。
1976年、ロキシー・ミュージックが一時解散すると、フェリーはR&B歌手のウィルバート・ハリスンのカバー曲「レッツ・スティック・トゥゲザー」を発表し、ソロ活動を本格化させます。1977年には、自作曲のみを収録したアルバム『イン・ユア・マインド』を発表、初の日本公演も行いました。
1980年代には、総勢30人ものミュージシャンを迎えて制作されたアルバム『ボーイズ・アンド・ガールズ』を発表。「スレイヴ・トゥ・ラヴ」などのヒット曲を生み出し、彼のソロキャリアを代表する作品となりました。その後も、『ベイト・ノワール』や、カバーアルバム『タクシー』、『マムーナ』などを発表し、精力的に活動を続けました。
1979年と2001年にロキシー・ミュージックは再結成され、アルバム発表やツアーを行いました。2010年以降も、ディランのカバーアルバム『ディラネスク』や、ジャズアルバム『ザ・ジャズ・エイジ』など、新たな音楽性を追求し続けました。2019年には、ロキシー・ミュージックがロックの殿堂入りを果たし、フェリーもその授賞式に出席しました。
フェリーの音楽は、R&B、ソウルミュージック、ヨーロッパ的なダンディズムが融合した独特のスタイルが特徴です。ロキシー・ミュージックでは、グラムロックの要素を取り入れながらも、洗練されたサウンドとファッションで異彩を放ちました。ソロ活動では、他人の楽曲をカバーしながら、自身のルーツを再確認し、新たな音楽表現に挑戦しています。
彼は優れたソングライターであり、ロキシー・ミュージックの楽曲をほぼ全て手掛けましたが、ソロ活動では様々なアーティストのカバーにも取り組みました。また、ヴォーカリストとしての評価も高く、キーボーディストとしても、独自の「ヘタウマ」な演奏スタイルで知られています。ハーモニカやギターの演奏も披露しており、多才なミュージシャンとしての顔も持っています。
2000年には、家族と共に搭乗したブリティッシュ・エアウェイズ機内でハイジャック未遂事件に遭遇しています。
フェリーの膨大なディスコグラフィは、彼の音楽的軌跡を物語っています。
ロキシー・ミュージック
スタジオ・アルバム
ソロ・アルバム
『愚かなり、わが恋』 (1973年)
『アナザー・タイム、アナザー・プレイス』 (1974年)
『レッツ・スティック・トゥゲザー』 (1976年)
『イン・ユア・マインド』 (1977年)
『ベールをぬいだ花嫁』(1978年)
『ボーイズ・アンド・ガールズ』 (1985年)
『ベイト・ノワール』 (1987年)
『タクシー』 (1993年)
『マムーナ』 (1994年)
『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』 (1999年)
『フランティック』 (2002年)
『ディラネスク』 (2007年)
『オリンピア』 (2010年)
『ザ・ジャズ・エイジ』 (2012年)
『アヴォンモア』 (2014年)
『ビター・スウィート』(2018年)
『マムーナ／ホロスコープ』 (2023年)
この他にも、多数のライブアルバム、コンピレーションアルバムを発表しています。
フェリーは、1977年以降、複数回にわたり日本公演を行っています。
ブライアン・フェリーは、ロキシー・ミュージックの中心人物として、またソロアーティストとして、常に時代の先を行く音楽を追求し続けてきました。その独特のスタイルとカリスマ性で、多くのファンを魅了し、音楽史にその名を刻んでいます。彼の音楽は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。
参考文献
今野雄二 翻訳 編『ブライアンフェリー詩集 - アヴァロンの彼方へ』シンコーミュージック、1987年。ISBN 978-4401612116。
Buckley, David (2004). The Thrill of It All: The Story of Bryan Ferry & Roxy Music. London: Andre Deutsch. ISBN 0-233-05113-9
Smith, Sid (2019). In the Court of King Crimson: An Observation over Fifty Years. Panegyric. ISBN 978-1916153004
Thompson, Dave (2022). Roxy Music in the 1970s. London: Sonic Bond Publishing. ISBN 978-1-78952-180-1
生い立ちと初期の音楽活動
フェリーは、イギリスのダラム州ワシントンで労働者階級の家庭に生まれました。幼少期から音楽に親しみ、5歳でピアノを習い始めます。叔母の影響でナット・キング・コール、ビリー・エクスタインなどの78回転レコードを聴き、1950年代のポピュラー音楽に触れました。
1963年にはアマチュアのソウルバンド、バンシーズでシンガーとして活動を開始。その後、ニューカッスル大学で美術を学びながら、ザ・ガス・ボードというバンドでヴォーカルを務めました。このバンドには、後にロキシー・ミュージックを共に結成するグラハム・シンプソン、ジョン・ポーター、そして映画監督となるマイク・フィギスがいました。
ロキシー・ミュージックの結成と成功
1968年に大学を離れてロンドンに移ったフェリーは、美術講師をしながら作曲活動を始めます。1970年にはキング・クリムゾンのオーディションを受けますが不合格となり、その際にロバート・フリップから紹介された人物を通して、後のバンド結成につながるキーボーディストのアンディ・マッケイと出会いました。
1971年、フェリー、マッケイ、シンプソンを中心に、ブライアン・イーノが加わり、ロキシー・ミュージックが結成されます。グラム・ロック全盛期にデビューした彼らは、特異な音楽スタイルと奇抜なファッションで瞬く間に人気を博しました。フェリーは、そのソングライティングの中心として、バンドを牽引しました。
ソロ活動の開始と発展
1973年、フェリーはソロアルバム『愚かなり、わが恋』を発表しました。このアルバムは、ボブ・ディラン、ビーチ・ボーイズ、ローリング・ストーンズ、ビートルズなどのカバー曲で構成され、全英アルバムチャートで最高位5位を記録する大ヒットとなりました。その後も、『アナザー・タイム、アナザー・プレイス』など、カバー曲を中心としたアルバムを発表し、独自の音楽性を打ち出しました。
1976年、ロキシー・ミュージックが一時解散すると、フェリーはR&B歌手のウィルバート・ハリスンのカバー曲「レッツ・スティック・トゥゲザー」を発表し、ソロ活動を本格化させます。1977年には、自作曲のみを収録したアルバム『イン・ユア・マインド』を発表、初の日本公演も行いました。
1980年代には、総勢30人ものミュージシャンを迎えて制作されたアルバム『ボーイズ・アンド・ガールズ』を発表。「スレイヴ・トゥ・ラヴ」などのヒット曲を生み出し、彼のソロキャリアを代表する作品となりました。その後も、『ベイト・ノワール』や、カバーアルバム『タクシー』、『マムーナ』などを発表し、精力的に活動を続けました。
ロキシー・ミュージックの再結成と晩年
1979年と2001年にロキシー・ミュージックは再結成され、アルバム発表やツアーを行いました。2010年以降も、ディランのカバーアルバム『ディラネスク』や、ジャズアルバム『ザ・ジャズ・エイジ』など、新たな音楽性を追求し続けました。2019年には、ロキシー・ミュージックがロックの殿堂入りを果たし、フェリーもその授賞式に出席しました。
音楽性と特徴
フェリーの音楽は、R&B、ソウルミュージック、ヨーロッパ的なダンディズムが融合した独特のスタイルが特徴です。ロキシー・ミュージックでは、グラムロックの要素を取り入れながらも、洗練されたサウンドとファッションで異彩を放ちました。ソロ活動では、他人の楽曲をカバーしながら、自身のルーツを再確認し、新たな音楽表現に挑戦しています。
彼は優れたソングライターであり、ロキシー・ミュージックの楽曲をほぼ全て手掛けましたが、ソロ活動では様々なアーティストのカバーにも取り組みました。また、ヴォーカリストとしての評価も高く、キーボーディストとしても、独自の「ヘタウマ」な演奏スタイルで知られています。ハーモニカやギターの演奏も披露しており、多才なミュージシャンとしての顔も持っています。
エピソード
2000年には、家族と共に搭乗したブリティッシュ・エアウェイズ機内でハイジャック未遂事件に遭遇しています。
ディスコグラフィ
フェリーの膨大なディスコグラフィは、彼の音楽的軌跡を物語っています。
ロキシー・ミュージック
スタジオ・アルバム
ソロ・アルバム
『愚かなり、わが恋』 (1973年)
『アナザー・タイム、アナザー・プレイス』 (1974年)
『レッツ・スティック・トゥゲザー』 (1976年)
『イン・ユア・マインド』 (1977年)
『ベールをぬいだ花嫁』(1978年)
『ボーイズ・アンド・ガールズ』 (1985年)
『ベイト・ノワール』 (1987年)
『タクシー』 (1993年)
『マムーナ』 (1994年)
『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』 (1999年)
『フランティック』 (2002年)
『ディラネスク』 (2007年)
『オリンピア』 (2010年)
『ザ・ジャズ・エイジ』 (2012年)
『アヴォンモア』 (2014年)
『ビター・スウィート』(2018年)
『マムーナ／ホロスコープ』 (2023年)
この他にも、多数のライブアルバム、コンピレーションアルバムを発表しています。
日本公演
フェリーは、1977年以降、複数回にわたり日本公演を行っています。
まとめ
ブライアン・フェリーは、ロキシー・ミュージックの中心人物として、またソロアーティストとして、常に時代の先を行く音楽を追求し続けてきました。その独特のスタイルとカリスマ性で、多くのファンを魅了し、音楽史にその名を刻んでいます。彼の音楽は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。
参考文献
今野雄二 翻訳 編『ブライアンフェリー詩集 - アヴァロンの彼方へ』シンコーミュージック、1987年。ISBN 978-4401612116。
Buckley, David (2004). The Thrill of It All: The Story of Bryan Ferry & Roxy Music. London: Andre Deutsch. ISBN 0-233-05113-9
Smith, Sid (2019). In the Court of King Crimson: An Observation over Fifty Years. Panegyric. ISBN 978-1916153004
Thompson, Dave (2022). Roxy Music in the 1970s. London: Sonic Bond Publishing. ISBN 978-1-78952-180-1
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。