ポー河の水車小屋

ポー河の水車小屋

『ポー河の水車小屋』（ポーがわのすいしゃごや、イタリア語: Il mulino del Po）は、1949年に製作されたイタリアの映画で、アルベルト・ラットゥアーダが監督を務めました。この映画は、リッカルド・バッケッリが1938年から1940年にかけて執筆した同名の小説を原作としており、イタリアのポー河流域を舞台にした人間ドラマです。

制作の背景

映画は、ルックス・フィルムによって製作され、ロンバルディア州のマントヴァ県を中心にロケーション撮影が行われました。原作小説を映画化するにあたり、バッケッリ自身も翻案作業に加わり、フェデリコ・フェリーニとトゥリオ・ピネリが脚本を担当しました。特にフェリーニは、本作の脚本執筆後、翌年にラットゥアーダと共同で映画監督デビューを果たしており、彼の初期の重要な作品の一つとして位置づけられています。

公開

イタリアでは1949年9月28日に公開され、日本では1951年にイタリフィルムが輸入し、松竹洋画部との共同配給で同年11月25日に公開されました。長らく視聴が困難な状況でしたが、2020年9月にはコスミック出版から発売された「イタリア映画コレクション「越境者」10枚組」に収録され、再び日の目を見ることになりました。

ストーリー

物語は、ポー河流域で水車小屋を営む人々の生活を中心に展開します。彼らの日常、愛憎、そして社会の変動が、リアリズムを追求した映像美で描かれています。貧困や労働といった当時の社会問題も織り込まれており、ネオレアリズモの代表作の一つとして評価されています。登場人物たちの感情の機微や、厳しい環境の中で生きる人々の姿が、観る者の心を揺さぶります。

スタッフとキャスト

映画の制作には、以下の著名なスタッフが参加しています。

監督: アルベルト・ラットゥアーダ
原作: リッカルド・バッケッリ
脚本: フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネリ
プロデューサー: カルロ・ポンティ
撮影: アルド・トンティ
音楽: イルデブランド・ピツェッティ

出演者も実力派が揃っており、カルラ・デル・ポッジョ、ジャック・セルナス、マリオ・ベセスティらが、それぞれの役柄を魅力的に演じています。

作品の評価と影響

『ポー河の水車小屋』は、ネオレアリズモの映画運動の中で、そのリアリズムと社会描写が高く評価されました。フェデリコ・フェリーニの初期作品としても重要な位置を占めており、後の彼の作品にも影響を与えたと考えられています。また、当時のイタリアの社会状況や人々の暮らしを理解する上で、貴重な映像資料ともなっています。

関連事項

1951年の日本公開映画
ネオレアリズモ

外部リンク

ポー河の水車小屋 - ウェイバックマシン（2012年2月16日アーカイブ分） - movie-fan.jp
ポー河の水車小屋 - allcinema
ポー河の水車小屋 - KINENOTE
Il mulino del Po - オールムービー（英語）
* Il mulino del Po - IMDb（英語）

この映画は、イタリア映画史における重要な作品であり、その歴史的な価値は今日でも色褪せていません。

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