イタリフィルム

イタリフィルム有限会社

イタリフィルム有限会社（Italifilm Co., Ltd.）は、1949年2月に設立され、1962年3月に営業譲渡された、かつて存在した日本の映画会社です。第二次世界大戦後の混乱期に、イタリア映画の輸入配給と日本映画の輸出を目的として設立されました。

設立と初期の活動

1949年2月、東京都千代田区に設立され、社長にはジュリアーナ・ストラミジョーリが就任しました。設立当初、配給業務は東宝に委託され、同年9月6日にはロベルト・ロッセリーニ監督の『戦火のかなた』を第1回配給作品として公開しました。その後、松竹、新外映、日活、エイショウ・トレイディング・カンパニー、ニッポンシネマコーポレーション（NCC）と共同で、あるいは単独で、数多くのイタリア映画を日本に紹介しました。

『羅生門』の国際的成功への貢献

1950年、大映京都撮影所が製作した黒澤明監督の『羅生門』を、第12回ヴェネツィア国際映画祭に出品するために尽力しました。その結果、『羅生門』は1951年に金獅子賞とイタリア批評家賞を受賞し、国際的に高い評価を得るきっかけとなりました。

事業拡大と営業譲渡

1958年11月には、大蔵省の方針により事業が拡大し、河合淳が営業部長、中村二郎が宣伝部長に就任しました。しかし、1962年3月には、約1億円の負債を抱え、かつて共同配給を行っていたNCCの元会長で、大映の元専務取締役であった曾我正史に営業権を譲渡し、ストラミジョリ社長は引退しました。曾我は、この営業権を基に、翌1963年7月に東京第一フィルムを設立しました。

おもなフィルモグラフィ

以下は、キネマ旬報映画データベースに掲載されている、イタリフィルムが日本で配給した主な作品の一覧です。特に記述がない限り、製作国はイタリアです。

1940年代

『雲の中の散歩』 (1943年) - 松竹と共同配給
『もだえ』 (1944年, スウェーデン)
『無防備都市』 (1945年)
『戦火のかなた』 (1946年) - 東宝配給（第1回配給作品）
『靴みがき』 (1946年) - 東宝と共同配給
『荒野の抱擁』 (1947年) - 東宝と共同配給
『無法者の掟』 (1948年)
『自転車泥棒』 (1948年) - 松竹と共同配給
『ドイツ零年』 (1948年) - 松竹と共同配給
『にがい米』 (1949年) - 松竹と共同配給
『ポー河の水車小屋』 (1949年) - 松竹と共同配給
『シーラ山の狼』 (1949年) - 松竹と共同配給

1950年代

『奇蹟は一度しか起こらない』 (1950年) - NCCと共同配給
『明日では遅すぎる』 (1950年) - 松竹と共同配給
『越境者』 (1950年) - 松竹と共同配給
『白い国境線』 (1950年) - 松竹と共同配給
『紅薔薇は山に散る』 (1950年) - 松竹と共同配給
『オリーヴの下に平和はない』 (1950年) - 松竹と共同配給
『街は自衞する』 (1951年) - 松竹と共同配給
『ウンベルト・D』 (1951年)
『ミラノの奇蹟』(1951年) - 松竹と共同配給
『アンナ』 (1952年) - 松竹と共同配給
『ヨーロッパ一九五一年』 (1952年) - 松竹と共同配給
『懐かしの日々』 (1952年) - 松竹と共同配給
『パンと恋と夢』 (1953年) - NCCと共同配給
『われら女性』 (1953年) - 松竹と共同配給
『人間魚雷』 (1953年) - 松竹と共同配給
『大氷原』 (1953年) - 新外映と共同配給
『ユリシーズ』 (1954年) - NCCと共同配給
『道』 (1954年) - NCCと共同配給
『夏の嵐』 (1954年) - NCCと共同配給
『ナポリの饗宴』 (1954年) - NCCと共同配給
『ローマの女』(1954年) - NCCと共同配給
『戦車を駆る女王 テオドラ』 (1954年) - NCCと共同配給
『大いなる希望』 (1954年) - NCCと共同配給
『高校三年』 (1954年) - NCCと共同配給
『愛の交響楽』 (1955年) - NCCと共同配給
『失われた大陸』 (1955年) - NCCと共同配給
『ヒマラヤK2征服』 (1955年)
『侵略者』 (1956年) - NCCと共同配給
『鉄道員』 (1956年) - NCCと共同配給
『恋愛時代』 (1956年) - NCCと共同配給
『屋根』 (1956年) - NCCと共同配給
『愛は惜しみなく』 (1956年) - NCCと共同配給
『太陽の帝国』 (1956年) - 新外映と共同配給
『水田地帯』 (1956年) - 新外映と共同配給
『ふしぎな森の物語』 (1956年)
『白夜』 (1957年) - NCCと共同配給
『カビリアの夜』 (1957年) - NCCと共同配給
『芽ばえ』 (1957年) - NCCと共同配給
『カルタゴの女奴隷』 (1957年) - NCCと共同配給
『最後の楽園』 (1957年) - NCCと共同配給
『大遠征軍』 (1957年) - NCCと共同配給
『奥様にご用心』 (1957年, フランス/イタリア)
『さすらい』(1957年) - 新外映と共同配給
『両面の鏡』(1958年, フランス/イタリア)
『わらの男』 (1958年)
『三月生れ』 (1958年)
『勝負師』 (1958年, フランス/イタリア)
『みんなが恋してる』 (1958年)
『挑戦』 (1958年)
『壮絶鬼部隊』 (1958年, イタリア/スイス) - エイショウ・トレイディング・カンパニーと共同配給
『エロデ大王』 (1959年, イタリア/スイス) - 日活と共同配給
『ロベレ将軍』 (1959年)
『潜水艦浮上せず』 (1959年, イタリア/フランス)
『激しい季節』 (1959年)
『剣闘士の反逆』 (1959年)
『ベニスと月とあなた』 (1959年)
『南十字星の下』 (1959年)
『掟』 (1959年)
『街の中の地獄』 (1959年)
『5番街を手𧗷しろ!』(1959年、フィリピン)

1960年代

『危険なデイト』 (1960年)
『バッカスの狂宴』 (1960年)
『暗殺指令』(1960年)
『ローマで夜だった』 (1960年)
『若者のすべて』 (1960年)
『ゼロ地帯』(1960年)
『甘い生活』 (1960年)
『太陽の誘惑』 (1960年)
『情事』 (1960年)
『十七歳よさようなら』 (1960年)
『カルタゴ』 (1960年)
『汚れた英雄』(1960年)
『グラマー西部を荒らす』(1961年、アメリカ合衆国)
『生血を吸う女』 (1961年, イタリア/フランス)
『マラカイボ大要塞』(1961年)
『甘い暴力』(1963年、フランス)

関連事項

第12回ヴェネツィア国際映画祭
ヴェネツィア国際映画祭

注

この一覧は、キネマ旬報映画データベースに掲載されている情報を基に作成されています。

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