マイ レディー

郷ひろみ「マイ レディー」：ドラマとチャートを席巻した一曲

1979年9月21日、郷ひろみ32枚目のシングル「マイ レディー」がリリースされました。この曲は、TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』において、前作「林檎殺人事件」に続く快挙となる5週連続1位を獲得したヒット曲です。

「マイ レディー」は、テレビドラマ『家路〜ママ・ドント・クライ』の挿入歌として書き下ろされました。楽曲の作詞・作曲は「唐沢晴之介」名義となっていますが、これはドラマの中で郷ひろみが演じた役名です。劇中で彼が作った曲という設定でクレジットされたものであり、実際の作詞・作曲は「HISTORY」の作詞・作曲も手掛けた網倉一也氏が行っています。網倉氏は1981年発表の自身のソロアルバム『SCENE』において「マイ レディー」をセルフカバーしています。

ドラマとの密接な関係性、そして『ザ・ベストテン』での圧倒的な人気は、「マイ レディー」の成功を決定づけました。郷ひろみ自身の歌唱力と、ドラマのストーリーに深く溶け込んだ楽曲の持つ魅力が、多くのリスナーの心を掴んだと言えるでしょう。楽曲の世界観は、ドラマの主題と見事に調和しており、ドラマ視聴者だけでなく、幅広い層に受け入れられた理由の一つと言えるでしょう。

カップリング曲には「HISTORY」が収録されています。こちらは網倉一也氏による作詞作曲で、郷ひろみの音楽的幅の広さを感じさせる、異なる魅力を持った楽曲です。「マイ レディー」とは対照的な雰囲気を持つ「HISTORY」は、アルバム収録に相応しい楽曲と言えるでしょう。

さらに、「マイ レディー」は後世にも影響を与えています。2010年には、髙橋真梨子が自身のアルバム『No Reason 2 〜もっとオトコゴコロ〜』にてカバー。異なるアーティストによる解釈が、この楽曲の普遍的な魅力を改めて証明しています。カバーバージョンは、オリジナルとはまた違った魅力を持っており、多くのファンに支持されています。オリジナル曲の魅力を損なうことなく、髙橋真梨子自身の歌唱スタイルを融合させた、聴き応えのあるカバーに仕上がっています。

そして、「マイ レディー」と『ザ・ベストテン』には、忘れられないエピソードが残っています。1979年12月13日放送の『ザ・ベストテン』で5週連続1位を獲得した際、郷ひろみはドラマの衣装から番組用の衣装への着替えに時間がかかってしまい、登場が大幅に遅れてしまいました。急遽CMを挟むというハプニングが発生、結果としてエンディングテーマと放送時間が被るというギリギリの状況となりましたが、郷ひろみは見事時間内に歌いきり放送事故を回避しました。

この時の映像は、2013年9月27日放送の『金スマ 2時間SP ザ・ベストテンの真実』や、2023年11月10日放送の『金スマSP Z世代の若者たちへ"君たちは本当の黒柳徹子を知らない"』（ザ・ベストテン ハプニング集）などで放送され、多くの視聴者に衝撃と笑いを届けています。このハプニングは、郷ひろみのプロ意識の高さと、番組スタッフの機転の良さ、そして何より「マイ レディー」の人気を改めて示すエピソードとなっています。

「マイ レディー」は、ドラマ、音楽番組、そしてアーティスト自身のエピソードなど、様々な要素が絡み合い、大きな成功を収めた楽曲と言えるでしょう。時代を超えて愛され続けるその魅力は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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