マイアミ5

『マイアミ5』（原題：Band of the Hand）は、1986年にアメリカで公開された青春アクション映画です。当初はテレビシリーズとして企画されましたが、パイロットフィルムのみが制作され、劇場公開という形になりました。

物語は、強盗や暴行、麻薬密売など、様々な重罪を犯した5人の不良少年から始まります。彼らは刑務所ではなく、フロリダ州南部の広大な湿地帯へと送られます。そこで彼らを待ち受けていたのは、アメリカ海兵隊出身の元軍人ジョー・テグラでした。ジョーは、少年たちにある実験的な犯罪者更生プログラムを施すために、彼らをこの地へ連れてきたのです。

ジョーはまず、少年たちに湿地帯で生き抜くためのサバイバル術を叩き込みます。少年たちは最初はジョーに反抗し、互いに争いますが、逃げ場のない環境の中で、やむなくジョーの指導に従うようになります。厳しい訓練を経て、彼らは湿地帯からの脱出に成功します。

しかし、彼らの試練はまだ終わりません。ジョーは少年たちをマイアミ・サウスビーチのスラム街へと連れて行き、廃墟となったアパートを自分たちで修理し、生活するよう指示します。少年たちは、周囲の住民たちとの摩擦や困難を乗り越えながら、少しずつスラム街の環境を改善しようと努力を始めます。

ところが、このスラム街は麻薬密売グループのボス、クリームが支配していました。自分の縄張りを荒らされたクリームは、ジョーに脅迫を加えますが、ジョーは機転を利かせ、クリームの手下たちを圧倒します。

一方、少年の1人、ルーベンは恋人ニッキーと再会します。しかし、ニッキーはマイアミの麻薬王ネスターの愛人となっていました。ニッキーから、クリームがネスターにジョーの殺害を依頼していたことを知ったルーベンは、ジョーたちに危険が迫っていることを知らせようと急いで戻ります。

その夜、クリームは大量の手下を引き連れて襲撃してきます。ジョーたちは待ち伏せし、クリームたちと激しい銃撃戦を繰り広げます。壮絶な戦いの末、ジョーはクリームを倒しますが、彼自身も命を落とします。

ジョーを失った少年たちは悲しみに暮れますが、同時に、ジョーの教えである「きみたちは5本の指のように固い絆で結ばれている（Band of the Hand)」という言葉が、彼らの心に深く刻まれています。彼らは、ジョーの死を無駄にしないため、そして正しく生きるために、団結してネスターの麻薬工場壊滅を目指します。

この映画は、元々はテレビシリーズとして企画されました。製作依頼を受けたマイケル・マンは、設定とストーリーに魅力を感じ、すぐに製作を承諾しました。配給会社が決まってからわずか3ヶ月後には、パイロットフィルムの撮影が始まりました。順調に進んでいた製作でしたが、シリーズ化は実現せず、パイロットフィルムを劇場映画として公開することになったのです。

映画の撮影は、前半の湿地帯のシーンがフロリダ州南部のエバーグレーズ国立公園で行われ、後半の市街地のシーンはマイアミのサウスビーチで撮影されました。特にサウスビーチは、かつて高級リゾート地でしたが、1970年代頃から治安の悪いスラム街へと変貌を遂げており、その独特の雰囲気は映画の舞台として最適でした。

監督は、「刑事スタスキー&ハッチ」でスタスキー役を演じたポール・マイケル・グレイザーです。テレビ用作品が劇場公開へと変更されたため、この作品が彼の初の劇場向け監督作品となりました。

映画には、マイケル・マンが製作した他の作品、特に1980年代に大ヒットした「特捜刑事マイアミ・バイス」の影響が色濃く反映されています。映像や色彩、音楽、アクションシーンなど、様々な要素で「特捜刑事マイアミ・バイス」のテイストが感じられます。

現在でもカルト的な人気を誇り、1980年代を象徴する青春アクション映画として、高い評価を得ています。 キャスト、挿入歌、そして関連情報へのリンクなど、より詳細な情報は、様々なデータベースで確認できます。

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