マイクル・コナリー

マイケル・コナリー：アメリカン・ミステリーの巨匠

1956年、ペンシルベニア州フィラデルフィアに生まれたマイケル・コナリーは、アメリカを代表するミステリー作家、そしてテレビ脚本家です。日本ではハードボイルド作家として知られています。クリントン元大統領など著名人の支持も得ており、国際的にも高い人気を誇ります。その人気ゆえ、翻訳出版権を巡る争奪戦が繰り広げられるほどです。

挫折した芸術家とミステリ小説家の母

コナリーは不動産開発会社を経営する父親とミステリー小説好きの母親の次男として生まれました。父親は挫折した芸術家でもあり、コナリーは、父親から成功への強い意志を教えられました。母親は幼いコナリーにミステリー小説の世界を紹介し、その後の進路に大きな影響を与えました。

12歳の時、家族でフロリダ州フォートローダーデールに移住。高校時代に、偶然目撃した事件が警察官への憧れと、犯罪世界の深淵に触れるきっかけとなりました。この経験は後の作品にも大きな影響を与えています。

建築からジャーナリズムへ、そして作家への転身

当初は建築家を目指し、フロリダ大学で建築を学んでいましたが、成績は振るわず、映画『長いお別れ』をきっかけに作家への道を志すことに。ジャーナリズムに転向し、フロリダ州の新聞記者として警察や犯罪事件を担当しました。

南フロリダを舞台にした「コカイン戦争」を取材する中で、犯罪と警察の実態を深く知ることとなり、この経験は、後の彼の小説のリアリティを支える重要な要素となりました。デルタ航空191便墜落事故を取材したレポートはピューリツァー賞候補となり、その才能は広く認められました。

ロサンゼルス・タイムズ社の犯罪担当記者として活躍した後、作家としてのキャリアに専念。1992年、ロス市警の刑事ハリー・ボッシュを主人公とした『ナイトホークス』（原題：The Black Echo）でデビュー。この作品は処女作ながら高い評価を受け、エドガー賞処女長編賞を受賞しました。

ハリー・ボッシュ、ミッキー・ハラー、そしてジャック・マカヴォイ

コナリーの作品群の中でも特に人気が高いのは、ロサンゼルス市警の刑事ハリー・ボッシュを主人公とする「ハリー・ボッシュ・シリーズ」です。数々の事件を解決していくボッシュの姿は、読者に強い印象を与え、現在もシリーズは続いています。

他に代表的なシリーズとしては、敏腕刑事弁護士ミッキー・ハラーが登場する「リンカーン弁護士シリーズ」や、ジャーナリストジャック・マカヴォイを主人公としたシリーズがあります。これらのシリーズはそれぞれ独立していますが、登場人物がクロスオーバーするなど、コナリー作品の世界観を共有しています。

映画・ドラマ化と数々の受賞

コナリーの作品は、『ブラッド・ワーク』や『リンカーン弁護士』など、数多く映画化されています。近年では、AmazonやNetflixで「BOSCH/ボッシュ|BOSCH_ボッシュ」や「リンカーン弁護士」としてドラマ化され、高い人気を博しています。これら作品では製作総指揮や脚本も担当しています。

コナリーはエドガー賞を始め、アンソニー賞、バリー賞、マカヴィティ賞など数々の賞を受賞。2023年には、アメリカ探偵作家クラブの巨匠賞（Grand Masters）を受賞しました。

作品リスト

コナリーは多様なシリーズを展開し、それぞれに魅力的な登場人物と複雑な事件が織り込まれています。代表的なシリーズと主な作品を以下に示します。

ハリー・ボッシュシリーズ：『ナイトホークス』『ブラック・アイス』『ブラック・ハート』『ラスト・コヨーテ』など

ミッキー・ハラーシリーズ（リンカーン弁護士シリーズ）：『リンカーン弁護士』『真鍮の評決』『判決破棄』など

ジャック・マカヴォイシリーズ：『ザ・ポエット』『スケアクロウ』『警告』など

レネイ・バラードシリーズ：『レイトショー』『素晴らしき世界』『鬼火』など

その他、様々なシリーズや単発作品を発表し、現在も精力的に作品を発表し続けています。

まとめ

マイケル・コナリーは、ジャーナリストとしての経験を活かし、リアルで緻密な描写と魅力的な登場人物で読者を魅了する、現代アメリカを代表するミステリー作家です。彼の作品は、犯罪小説の枠を超え、人間の業や社会の闇を深く探求した、多くの読者に愛される傑作群です。今後も、彼の新たな作品に期待が高まります。

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