マイケル・クレトゥ

マイケル・クレトゥ：エニグマ創始者の音楽的軌跡

マイケル・クレトゥ（Michael Cretu）は、1957年5月18日にルーマニアのブカレストで生まれた音楽家であり、音楽プロジェクト「エニグマ」の創設者として世界的に知られています。本名はミハイ・クレツゥ（Mihai Creţu）。その音楽キャリアは、ソロ活動、プロデューサーとしての活動、そしてエニグマという革新的なプロジェクトを通じて多岐にわたります。

生い立ちと音楽の道

クレトゥは、ルーマニア人の父親とオーストリア人の母親の間に生まれ、幼い頃から音楽の才能を発揮しました。彼の叔父であるイオン・ヴォイクは、ルーマニアの著名なヴァイオリニストであり、ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者でした。1965年、クレトゥはブカレストの音楽学校でクラシック音楽を学び始め、1968年にはフランス・パリへ留学。その後、西ドイツへ渡り、フランクフルト音楽院で音楽の学位を取得しました。

ソロキャリアの幕開け

1978年、クレトゥはシングル「Wild River」でメジャーデビューを果たし、翌年にはファーストアルバム『Moon, Light & Flowers』をリリースしました。1985年には、サードアルバム『Die Chinesische Mauer』を発表し、このアルバムからシングルカットされた「サムライ」はヨーロッパ中でヒットしました。「サムライ」は、クレトゥがソロとして歌い上げた楽曲の中で最も成功した曲の一つです。

プロデューサーとしての才能

クレトゥは、マイク・オールドフィールドのアルバム『Islands』をはじめ、数多くのアーティストの作品をプロデュースしてきました。特に、アラベスクのリード・ヴォーカリストであったサンドラ・アン・ロウアーの作品を数多く手掛けたことで知られています。ボニーMのスタジオでキーボーディストとして活動していた際、アラベスクのツアーに参加し、サンドラと出会いました。1984年には、アルファヴィルの「Big In Japan」をカバーし、サンドラのデビューシングルとして「Japan ist weit」をリリースしましたが、ヒットには至りませんでした。しかし、1985年にクレトゥがサンドラに提供した「Maria Magdalena」は、ヨーロッパを中心に世界的なヒットとなり、21カ国のチャートで1位を獲得しました。その後も、「In The Heat Of The Night」などのヒット曲を連発しました。

1988年1月7日、クレトゥはサンドラと結婚し、スペインのイビサ島に移住しました。1990年には、デイヴ・モーガンが1969年に作曲した「ヒロシマ」をカバーし、サンドラに提供。この曲もドイツ、スイス、イスラエルなどでチャートのトップ5入りを果たしました。

エニグマの誕生と世界的な成功

1990年、クレトゥは音楽プロジェクト「エニグマ」を結成し、世界中で大きな成功を収めました。エニグマのデビューアルバム『サッドネス・永遠の謎』は、41カ国のチャートで1位を記録し、アメリカのアルバムチャートには約5年間（282週間）にわたってランクインしました。このアルバムは、アメリカで4つのプラチナムを獲得したのを始め、世界中で60以上のプラチナムを獲得しました。

映画音楽への貢献

クレトゥは、映画のサウンドトラックにも進出し、1993年公開の映画『硝子の塔』に楽曲「Carly's Song」を提供しました。エニグマの楽曲制作は、主にクレトゥの住居とスタジオがあるイビサ島で行われました。

ディスコグラフィー

エニグマ アルバム

ソロ アルバム

Moon, Light & Flowers (1979)
Legionäre (1983)
Die Chinesische Mauer (1985)
The Invisible Man (1985)

ソロ シングル

Wild River (1978)
Shadows Over My Head (1978)
Moonlight Flower (1979)
Today、Today (1983)
Der Planet Der Verlorenen Zeit (1983)
Zeitlose Reise (1983)
Total Normal (1983)
Schwarzer Engel (1984)
サムライ (1985)
Die Chinesische Mauer (1985)
Carte Blanche (1985)
Silver Water (1985)
* Gambit (1986)

マイケル・クレトゥの音楽的才能は、ソロ活動、プロデュースワーク、そしてエニグマという革新的なプロジェクトを通して、世界中の音楽ファンに感動を与え続けています。

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