マイケル・コリンズ (映画)

映画『マイケル・コリンズ』：アイルランド独立戦争の英雄の生涯

1996年公開の映画『マイケル・コリンズ』は、アイルランド独立運動の中心人物マイケル・コリンズの生涯を描いた歴史ドラマです。イギリス、アイルランド、アメリカの合作で制作され、リーアム・ニーソンがコリンズを熱演、ニール・ジョーダン監督（『クライング・ゲーム』）の卓越した演出により高い評価を受けました。アイルランドでは、2005年時点でアイルランド映画として最高の興行収入を記録するなど、大きな成功を収めています。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞という栄誉にも輝いています。

イースター蜂起から内戦へ

物語は、1916年のイースター蜂起から始まります。イギリスからの独立を目指す蜂起の中で、コリンズは中央郵便局での戦闘に参加。エイモン・デ・ヴァレラらと共にイギリス軍と激しく交戦しますが、蜂起は失敗に終わり、コリンズは投獄されます。

釈放後、コリンズは親友ハリー・ボランドと共にゲリラ戦を展開、抵抗運動のリーダーとして頭角を現していきます。激しい戦闘の中で負傷したコリンズは、キティと出会います。警察からの情報提供を受けながら抵抗活動を続ける中、イギリス政府はソームズを派遣し、アイルランド独立運動（IRA）への弾圧を強化します。コリンズは、MI5のスパイ網「カイロ・ギャング」のメンバーを次々と暗殺するなど、大胆な行動に出ます。しかし、「血の日曜日事件」と呼ばれる悲劇的な事件も発生し、多くの一般市民が犠牲となります。

デ・ヴァレラは刑務所から脱出し、ボランドと共にアメリカ大統領への支援要請を試みますが失敗。政治的支援を得られないと判断したコリンズは、デ・ヴァレラの説得を受け、イギリスとの交渉に参加し、英愛条約の締結に貢献します。

1922年、英愛条約はアイルランド議会で批准されますが、条約に反対するデ・ヴァレラは議会を離脱。ボランドもコリンズのもとを去ります。アイルランド自由国が誕生し、ダブリン城でイギリスからの主権が移譲されますが、条約に反対する勢力は武装蜂起、内戦へと発展していきます。コリンズは内戦終結を目指し、デ・ヴァレラとの交渉を試みます。

キャストと制作

主演のリーアム・ニーソンを始め、エイダン・クイン、アラン・リックマン、ジュリア・ロバーツなど、豪華な俳優陣が出演しています。制作は、当初、ガブリエル・バーン主演、マイケル・チミノ監督で企画されましたが、予算問題により変更。最終的にニール・ジョーダン監督がメガホンを取り、アイルランドとアメリカによる共同制作となりました。制作費は、アイルランド映画委員会の年間予算の10～12％に相当する高額なものでした。音楽はエリオット・ゴールデンサール、歌はシネイド・オコナーが担当しています。公開はIRA暫定派の休戦破棄の影響を受け、延期されています。

評価と史実との差異

映画『マイケル・コリンズ』は高い評価を得ましたが、史実と異なる描写が多い点については批判も受けています。ジョーダン監督は、2時間という限られた時間の中で、世界中の観客に理解できるストーリーにする必要があったと説明しています。

まとめ

映画『マイケル・コリンズ』は、アイルランド独立運動という激動の時代を生きた一人の男の生き様を、迫力ある映像と名優たちの演技で描き出した傑作です。歴史的事実との相違点も指摘されていますが、アイルランド独立の歴史を理解する上で、重要な作品と言えるでしょう。

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