マイナス (漫画)

『マイナス』 - 沖さやかによるサイコスリラー漫画

概要

『マイナス』は、沖さやか（現在の山崎紗也夏）が創作した日本の漫画で、1996年から1997年の間に『週刊ヤングサンデー』（小学館）で連載されていました。この作品は単行本として全5巻が出版され、また、完全版は全3巻としてエンターブレインから、電子書籍版も全5巻がリリースされています。

本作はギャグ要素を持ちながらも、過激で残虐な内容を含むサイコスリラーであり、登場人物の人間心理の深層に迫った描写が印象的です。また、山崎作品の初期にあたるため、作中では彼女の絵の技量が成長する過程を観察することができます。

特に、第31話「遭難クッキング 後編」の人肉食の描写は話題になり、掲載された雑誌は回収措置を取ることとなりました。しかし、その後2004年に発表された完全版にはこのエピソードも含まれています。

ストーリー

物語は、恩田さゆりという高校教師が主人公です。彼女は幼少期に受けた父親からの家庭内暴力によって強いトラウマを抱え、人から嫌われることを極端に恐れるようになった人物です。この恐れを克服するために、嫌われないようにあらゆる手段を講じてしまい、時には他人を陥れることさえ厭いません。

そんな彼女の日常に、横田ヨシエという女子生徒が現れます。ヨシエは藁人形を使って他人に復讐を遂行するという秘密を隠し持っており、恩田はその存在に翻弄されることとなります。状況が悪化し、ついにはヨシエの親友である川嶋久美を殺害し、自らもヨシエを手にかけてしまいます。この瞬間から、恩田は人から嫌われることへの恐れを失い、彼女の行動はさらにエスカレートしていきます。

一方、恩田は生徒たちから人気を集めていたものの、不良生徒である中村によってその真の姿を暴かれてしまいます。しかし中村は彼女の秘密を公にせず、その後二人の関係は少しずつ近づいていきます。恩田は「幸せ」を見つけるために様々な人を巻き込んでしまい、その結果、次第に彼女は奈落の底に叩き落されていくのです。

最終的に恩田は実家に帰ることになりますが、父との再会が自ら思い悩む引き金となり、自殺を考えるほどの窮地に立たされます。しかし、自首するという決断を下すことによって新しい道を模索することになります。

物語は時が経ち、20年後に刑務所を出所した恩田さゆりが成長した中村の前に現れます。そこで彼女は真の自立を果たした姿を見せることが、彼らの新たな関係性を暗示しているのです。彼女の変化は、心理的葛藤と成長の証を示し、読者に深い印象を残します。

登場人物

• - 恩田さゆり: 主人公で2年5組の英語教師。冷たそうな外見を持つ美女。極度の人嫌いを恐れ、過剰な行動をとることが特徴。妹がいる。
• - 横田ヨシエ: 復讐のために藁人形を用いる女子生徒。
• - 川嶋久美: ヨシエの親友で、物語の重要な転機をもたらすキャラクター。
• - 中村: 不良生徒で、恩田の秘密を知ることになる人物。
• - 西山典子・友美: 恩田と同期の女性教師。

「マイナス」は人間の心理の暗い部分と成長を描いた作品として、今なお多くの読者に深い印象を与え続けています。

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