マイミーオ

ブラザー「MyMio（マイミーオ）」：家庭用インクジェットプリンターの軌跡

「MyMio（マイミーオ）」は、ブラザー工業が製造・販売していた家庭用インクジェットプリンター（複合機）のブランドです。その特徴は、他社製品と比較して高さ寸法を抑えたコンパクトな本体設計にありました。初期には「デジタル多機能機」「薄型デジタル複合機」という独自のカテゴリーで展開され、後に「薄型インクジェット複合機」として市場に定着しました。

コンパクトな本体とファクス機能の搭載

2003年2月に初代モデル（MFC-100/150CL）が登場。本体の高さは13cmと、当時としては非常に薄型・コンパクトでした。翌年には背面給紙から前面2段トレイ給紙に変更され、本体背面がフラットになると同時に、さらなるダウンサイジングが図られました。2010年9月発表のラインナップまでは、ファクス機能を搭載した機種（MFC型番）をメインに展開し、家庭用卓上G3ファクスからの買い換えを促進しました。しかし、2011年・2012年モデルでは、ファクス非搭載（DCP型番）の製品を前面に押し出し、コンパクトな本体サイズに加え、「必要十分な高画質とコストメリットの両立」「市場内3位の地位の確立」を開発テーマとして掲げました。

販売戦略とブランド名の変更

当初、MyMioは家庭用ファクス売場に置かれることが多かったのですが、ブラザーの[インクジェットプリンター]]市場での知名度向上に伴い、他社製品と同様にプリンター・複合プリンター売場に置かれるようになりました。MyMioという名称は、"My Multi-information Organizer" という製品コンセプトに由来するとされています。しかし、2012年8月にブランド名が「プリビオ]」に変更され、MyMio[[ブランドは9年の歴史に幕を閉じました。

製品ラインナップ

2012年モデル以降の製品については、「プリビオ」の製品ラインナップを参照してください。

2003年モデル

初代モデルは2003年1月27日に発表され、2月に発売されました。ファクス機能を搭載した以下の3機種からスタートしました。

MFC-100
MFC-150CL/CLW
150CLはコードレス子機、フォトメディアキャプチャー、留守番電話機能を備えた高機能モデル。
150CLWは子機2台付きモデル。

2004年モデル

2004年7月に初のモデルチェンジが行われ、ラインナップは5機種に拡大しました。

DCP-110C
初のファクス非搭載モデルで、プリンター、カラーコピー、スキャナー、フォトメディアキャプチャーに特化。品番もDCPとなる。
MFC-410CN
MFC-610CLN/CLWN
MFC-620CLN
全ての機種でネットワークに標準対応。
子機付きモデル（610CLN/610CLWN/620CLN）は、受話器が台座ごと着脱可能な「取れちゃう受話器」を採用。
最上位機種の620CLNには、複数原稿の連続読取を可能にするADF（自動原稿送り装置）を搭載。

2005年モデル

8月と10月に発表され、順次モデルチェンジが行われました。

DCP-115C
110Cの後継モデルで、内蔵メモリ容量が16MBに倍増。
デジカメプリントの解像度が2,400×1,200dpiに向上。
ページレイアウトコピーがカラーでも可能に。
MFC-425CN
MFC-615CL
MFC-830CLN/CLWN
410CNの後継モデルとなる425CNは、最大10枚までの原稿をセット可能な薄型ADFを搭載。
610CLN/CLWNの後継モデルとなる830CLN/830CLNWは、2.5インチのカラー液晶を搭載し、受信したファクスの内容を画面上で確認できる「みるだけ受信」に対応。
子機はホワイトバックライトを備えたピュアホワイト液晶を搭載。
全ての機種でPCファクスの送受信が可能に。
615CLは610CLNからネットワーク機能を省いたモデル。
830CL/830CLWNには、発信・着信履歴に関する不具合が判明し、出荷停止とソフトウェアアップデートが実施された。

2006年モデル

1月にSOHO向けのハイエンドモデル2機種、8月に3モデル・4機種が追加され、ラインナップは6機種に拡大しました。

DCP-330C
DCP-750CN
115Cの後継モデルとなる330Cは、2インチカラー液晶と、2つの用紙を同時にセット可能なスライドトレイを採用。
新モデルの750CNは、2.5インチカラー液晶と無線LAN（IEEE802.11b/g）を搭載。
MFC-820CN
MFC-840CLN
MFC-850CDN/CDWN
840CLNは620CLNの後継モデルで、2.5インチカラー液晶と「みるだけ受信」に対応。子機にピュアホワイト液晶を搭載し、PCファクスの受信も可能に。
820CNは840CLNからコードレス子機と電話機能を省いたファクス付きモデル。
850CDN/850CDNWはデジタルコードレス子機となり、カラー液晶ディスプレイは4.2インチワイドビューに大型化。

2007年モデル

1月にビジネスユーザー向けの3モデル・4機種、9月に6モデル9機種が発表されました。

DCP-155C
DCP-350C
350Cは330Cの後継モデルで、USBポートを搭載し、USBフラッシュメモリからのダイレクトプリントに対応。
画像補正機能も搭載。
155Cは16文字の1行液晶を搭載したエントリーモデル。
USBフラッシュメモリからのダイレクトプリントには対応するが、画像補正機能は非搭載。
MFC-460CN
MFC-630CD/CDW
MFC-860CDN
425CN/615CL/840CLNの後継モデル。
プリントエンジンの改良により、コンパクト化、高速印刷、高解像度を実現。
カラー液晶を搭載（460CN/630CD/630CDWは2.5インチ、860CDNは4.2インチワイドビュー）。
子機付きモデル（630CD/630CDW/860CDN）はデジタルコードレス子機を搭載。
460CNは無線LAN（IEEE802.11b/g）を搭載。
MFC-480CN
MFC-650CD/CDW
MFC-870CDN/CDWN
MFC-880CDN/CDWN
460CN/630CD/630CDWの後継モデルとなる480CN/650CD/650CDWは、ディスプレイを3.3インチワイドビューに大型化。
870CDN/870CDWN/880CDN/880CDWNは、無線LANとデジタルコードレス子機の電波干渉を低減し、日本初の無線LAN搭載デジタルコードレス子機同梱モデルを実現。

2008年モデル

9月に6モデル・8機種が発表されました。

DCP-165C
DCP-385C
DCP-535CN
エントリーモデルの165C、スタンダードモデルの385C、ハイスペックモデルの535CNの3機種をモデルチェンジ。
385Cと535CNは、ディスプレイが3.3インチワイドビューへ大型化。
MFC-490CN
MFC-670CD/CDW
MFC-930CDN/CDWN
650CD/CDWの後継となる670CD/CDWと、880CDN/CDWNの後継となる930CDN/CDWNはタッチパネルを搭載。
670CD/CDWは4.2インチに大型化。

2009年モデル

9月に7モデル・11機種を発表。「インク節約モード」が搭載されました。

DCP-390CN
DCP-595CN
385Cの後継モデルとなる390CNは、有線LANを搭載しネットワークに対応。
MFC-495CN
MFC-675CD/CDW
MFC-695CDN/CDWN
MFC-735CD/CDW
MFC-935CDN/CDWN
735CD/CDWと935CDN/CDWNの2機種は、TFTタッチパネル液晶を5インチに大型化。

2010年モデル

8月末に7モデル・11機種を発表。無線プリント搭載機種は、専用アプリでiPhone/iPod touch/iPadからのプリントやスキャンに対応。全ての機種のディスプレイがTFT液晶に統一されました。

DCP-J515N
DCP-J715N
MFC-J615N
MFC-J700D/DW
MFC-J800D/DW
MFC-J850DN/DWN
MFC-J950DN/DWN
J800D/DWとJ850DN/DWNの2モデルは、パーソナルファクス並びにインクジェット複合機で初となる無線ファクス機能を搭載。子機の充電台を兼ねる通信ボックスを電話回線と接続し、本体とのデータは無線LANで送受信。
無線ファクス搭載機種は「マイミーオ フリー」の副愛称が付与。
タッチパネルをコードレス子機付きモデル全機種に拡大。
最上位機種のJ950DN/DWNにはRSSリーダー機能も搭載。

2011年モデル

9月に7モデル・11機種を発表。無線ファクス搭載モデル「マイミーオ フリー」を除く全ての機種で、プリントヘッドのノズルを高密度化し、用紙の搬送構造を改良することで印刷スピードを高速化。タッチパネルは全モデル標準搭載となりましたが、DCP-J525NとMFC-J705D/DWは1.9型STN液晶に変更されました。

DCP-J525N
DCP-J725N
DCP-J925N
J925Nは自動両面プリントとディスクレーベルプリントに対応。
J725Nは当初2012年春発売予定だったが、流通限定モデルとなる。
MFC-J705D/DW
MFC-J805D/DW
MFC-J825N
MFC-J855DN/DWN
MFC-J955DN/DWN
J825NとJ955DN/DWNはJ925N同様、自動両面プリントとディスクレーベルプリントに対応。
2010年までの無線LAN対応モデルの外装キャビネットに印刷されていた“WIRELESS”のロゴが、この代から“WiFi”表記に変更。

マイミーオ×らき☆すた「まいみ～お応援ぷろじぇくと」

人気アニメ『らき☆すた』とのコラボレーション企画も実施されました。2008年9月4日に同社の創業100周年記念イベントで発表され、秋葉原エンタまつりやコミックマーケットといったイベントにも出展しました。また、『らき☆すた』の連載誌であるコンプティークでも紹介ページが連載されました。

出展されたマシンは、DCP-385Cの天板（スキャナのカバー）にキャラクターが描かれたものでした。同社は「個性あふれる創作活動に日々励む皆様への応援作戦」として、豊富なプリンターラインアップでユーザーの創作活動を支援しました。

関連リンク

ITmedia - ミシンから“痛複合機”まで、ブラザー100年の軌跡を展示

関連項目

プリビオ - 2012年モデル以降のブランド名。家庭向けだけでなく、ビジネス向けモデルも展開。
ブラザー工業
インクジェットプリンター
プリンター
複合機
FAX

外部リンク

その他製品｜インクジェットプリンター・複合機｜ブラザー - 販売終了品を含めた旧モデルの一覧で、「マイミーオ」の歴代モデルも紹介されています。

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