マイ・ポイント・オブ・ヴュー

ハービー・ハンコックの『マイ・ポイント・オブ・ヴュー』

『マイ・ポイント・オブ・ヴュー』は、アメリカのジャズ・ピアニスト、ハービー・ハンコックが1963年に発表したアルバムであり、彼のキャリアにおいて重要な位置を占めています。この作品は、ハンコック自身にとって2作目のスタジオ・アルバムとなり、前作『テイキン・オフ』から着実に進化した姿を聴くことができる一枚です。

背景と制作

アルバムに収録されている「ブラインド・マン、ブラインド・マン」は、ハンコックが故郷で目にした盲目のギタリストに影響を受けて作られた曲です。この楽曲は前作『テイキン・オフ』の「ウォーターメロン・マン」のスタイルを引き継ぎつつ、新たな情熱を注ぎ込まれています。また、ドナルド・バードが参加しており、彼は後に自身のアルバムで同曲を再演しています。「ア・トリビュート・トゥ・サムワン」は、ハンコックがバークリー音楽学校在学中に作曲したもので、彼の音楽的成長をも示しています。

本作の録音からわずか2ヶ月後、ハンコックはドナルド・バードの推薦を受けてマイルス・デイヴィス・クインテットに加入し、この後5年間にわたりデイヴィスと共演しながら、ブルーノート・レコードから自身のリーダー・アルバムを引き続き制作しています。

評価と影響

音楽評論家のスティーブン・トーマス・アールワインは、『マイ・ポイント・オブ・ヴュー』に対して高い評価をし、5点満点中4点を付けています。彼は、初アルバム『テイキン・オフ』の成功を一過性のものではなかったと証明したと述べ、本作には多様なスタイルを持つオリジナル曲が収められていることを強調しています。このアルバムが収録する全5曲には、彼の新たな挑戦がうかがえます。また、2020年にチャールズ・ワーリングが選出した「ハービー・ハンコックの名盤20選」では、本作が11位にランクインしています。ワーリングは、「ハンコックはR&B的な雰囲気を持つ「Watermelon Man」を「Blind Man, Blind Man」で再現しつつ、より大胆なモード・ジャズの表現として「King Cobra」に挑戦している」と具体的に分析しています。

収録曲の紹介

アルバムの収録曲はすべてハンコックのオリジナルで、以下の楽曲が含まれています:

• - ブラインド・マン、ブラインド・マン - 8分20秒
• - ア・トリビュート・トゥ・サムワン - 8分45秒
• - キング・コブラ - 6分56秒
• - ザ・プレジャー・イズ・マイン - 4分04秒
• - アンド・ホワット・イフ・アイ・ドント - 6分31秒

参加ミュージシャン

このアルバムには、ハービー・ハンコックを中心とした多彩なミュージシャンが参加しています。具体的には、トランペットのドナルド・バード、テナー・サクソフォンのハンク・モブレー、トロンボーンのグレイシャン・モンカー3世、ギターのグラント・グリーン、ベースのチャック・イスラエル、ドラムスのトニー・ウィリアムスが名を連ねています。このように、才能豊かな演奏者たちによるセッションが、アルバムの魅力をより高めています。

『マイ・ポイント・オブ・ヴュー』は、ハービー・ハンコックの創造性が色濃く反映された作品であり、ジャズの新たな地平を切り開いた一枚として今なお聴かれています。

もう一度検索