マウノ・コイヴィスト

マウノ・コイヴィスト：フィンランドの政治家

マウノ・ヘンリク・コイヴィスト（Mauno Henrik Koivisto、1923年11月25日 - 2017年5月12日）は、フィンランドの政治家であり、同国第9代大統領を務めました。また、2度にわたり首相（第46・55代）も務め、フィンランドの政治に大きな影響を与えました。

生涯と経歴

コイヴィストはトゥルクで生まれ、16歳で冬戦争に従軍するという若年期を送りました。終戦後は、大工や港湾労働者として働きながら社会民主党に入党し、政治の世界へと足を踏み入れます。その後、トゥルク大学を卒業し、ヘルシンキ労働者貯蓄銀行に入行。銀行員としてキャリアを積み重ね、幹部にまで昇進しました。

1966年には財相、1968年にはフィンランド銀行幹部議長に就任するなど、着実に政治家としての地位を確立していきます。そして、1968年3月には首相に任命され、社民党内閣を率いました。1970年まで首相を務めた後も、副首相兼財相として引き続き政権を支えました。

1979年の総選挙後には、社民党主導の左派連立内閣を組み、再び首相に就任し、1982年までその職にありました。同年、ウルホ・ケッコネン大統領が辞任すると、その後を継いで大統領職を引き継ぎ、フィンランド初の左派系大統領となりました。

外交政策

コイヴィストの外交政策は、基本的には前任のケッコネンの中立外交を踏襲したものでしたが、世論や国際情勢の変化に対応し、西側諸国、特にアメリカ合衆国との関係を強化する方向へと舵を切りました。また、フィンランドの大統領として初めて日本を公式訪問したことも特筆されます。

大統領として

コイヴィストは大統領として、1988年に再選を果たし、1994年までその職を務めました。彼の在任期間は、フィンランドの国際的な地位向上に大きく貢献したと言えるでしょう。

死去

2017年5月12日、以前から患っていたアルツハイマー病により死去。93歳でした。

遺産

後年に行われたインタビューで、コイヴィストはソ連の影響下にあった1970年代のフィンランドを「最も危険な時代だった」と回想しています。彼のリーダーシップは、困難な時代を乗り越え、フィンランドの独立と繁栄を築く上で重要な役割を果たしました。コイヴィストは、フィンランドの政治史において、重要な人物の一人として記憶されるでしょう。

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