マオナガ

マオナガ（Alopias vulpinus）

マオナガは、ネズミザメ目オナガザメ科に分類されるサメで、学名はAlopias vulpinusです。彼らは熱帯から亜寒帯海域に広く分布し、特に温帯地域で多く見られます。通常、沿岸から外洋まで生息し、高度な回遊性を持っています。通常は海面近くにいますが、時には水深550メートルまで生息することが確認されています。幼魚については、主に温帯の沿岸域で過ごします。

特徴

マオナガはオナガザメ科の中で最大の種であり、誕生時は全長約120〜150センチメートル、成長するにつれて雌雄ともに約260センチメートルに達しますが、最大では575センチメートル以上、635センチメートルにもなると考えられています。体重も348キログラムに達することがあります。彼らの体型は流線形で、尾鰭は背部の胴体とほぼ同じ長さという特徴があります。背面の色は灰色から黒色で青みがかっていますが、側面はメタリックシルバーや銅色、腹面は白色です。腹部の白色部分は胸鰭の基礎部まで伸びています。

マオナガは、ニタリ（A. pelagicus）としばしば混同されることがありますが、胸鰭基底の上に広い白色帯がある点や尾鰭の構造的な違いで区別できます。上下顎にある歯の数は上顎が32〜52、下顎が25〜51本とされています。

生態

マオナガの食物の主な成分は外洋性浮魚類です。特にイカ、タコ、底生性の魚、甲殻類を捕食しますが、時折海鳥をも捕らえることがあります。長い尾鰭は狩りにおいて重要な役割を果たしており、小魚を叩いて麻痺させたり、捕獲するのに使用されます。そのため、尾鰭が延縄の掛かりで見つかることが多く、マオナガの口ではなく尾によって捕まることがしばしばあります。また、魚の群れを集める能力もあると考えられています。

繁殖形態は胎生であり、胎盤を作らずに卵食型の繁殖を行います。妊娠期間は約9ヶ月で、通常は2尾から4尾の子どもを産みます。子どもは生まれた時に114〜160センチメートル、体重は5〜6キログラム程度です。マオナガの成熟には3〜8年かかり、平均寿命は45〜50年と推測されています。

人間との関係

マオナガは漁業活動の一環として、マグロ延縄漁などで混獲されることが多いです。その肉やヒレ、皮、肝油は人間にとって有用な資源とされています。また、スポーツフィッシングの対象としても人気がありますが、彼らはもともと繁殖速度が低いため、過剰な漁獲により世界中で数が減少しています。

時折、「人に危害を加えない」と言われていますが、実際には遭遇した場合に攻撃することもあり、船を攻めるケースも報告されています。北海道の定置網で2019年7月16日に捕獲された個体は、臼尻水産実験場に運ばれて数時間飼育された記録が残っています。これにより、マオナガに対する理解が深まることを期待しています。

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