ニタリ

ニタリ (Alopias pelagicus)

ニタリはネズミザメ目オナガザメ科に分類されるサメで、インド洋や太平洋に分布しています。主に外洋に生息していますが、時には沿岸部にも現れることがあります。最も深い生息水深は152メートルに達することがありますが、0メートルからの範囲でも見つかります。ニタリの分布については、マオナガと混同される可能性があるため、正確な情報が求められています。

形態

ニタリの全長は最大で428センチメートルに達します。オナガザメ科の特徴である、長い尾鰭を持っており、全長の半分を占めています。その体色は、背中側が濃い青色または灰色で、体側はメタリックな銀色を呈しています。また、腹側は白色で、胸鰭基部の上まで伸びない白色の帯が特徴です。マオナガ（A. vulpinus）とは非常に似ていますが、マオナガの白色の帯は胸鰭基部の上まで伸びているため、容易に区別することができます。また、ハチワレ（A. superciliosus）とは異なり、後頭部に目立つ溝があるため見分けることができます。

出産後の個体は全長158センチメートルから190センチメートルと比較的大きいサイズです。

生態

ニタリは主に外洋性の浮魚類を捕食しますが、イカ類も食糧として含まれます。胎生で子宮内に胎仔を持ち、胎盤は形成しません。胎仔は最初は自分の卵黄で育ち、成長した後は未受精卵を食べ始めます。特に発生初期は、歯を使って卵を破ることがあるが、成長するにつれてそれを丸呑みにします。一般的に、妊娠期間は12ヶ月未満であり、毎年子供を生むと考えられています。通常、2尾が産まれ、各子宮で1尾ずつが育つ形です。

人間との関係

ニタリは一部の地域で漁業対象になりますが、主にマグロやカジキの延縄漁での混獲が多いです。肉や肝油、鰭、皮などが利用される一方で、人間に対しては危険はありません。しかし、延縄や刺し網などでの混獲、またスポーツフィッシングによる影響を受け、ニタリの生息数は減少しています。2017年には、Alopias属がワシントン条約附属書IIに掲載され、保護を受けることとなりました。

また、水族館での飼育実績は少なく、日本では沖縄美ら海水族館が古い館での飼育記録を残しているほか、大阪府の海遊館でも一時的に飼育されたことがあります。最長で26日間の飼育に成功した事例もあり、2015年には葛西臨海水族園での展示も行われました。

ニタリはその美しさと生態系における重要な役割から、今後の研究や保護活動が期待されています。

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