マカリウの戦い

マカリウの戦い：2022年ロシアのウクライナ侵攻における激戦

マカリウの戦いは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の初期段階において、キーウ州ブチャ地区のマカリウとその周辺地域で繰り広げられた激しい戦闘です。2月27日に始まり、3月25日まで続いたこの戦闘は、都市を巡る激しい攻防戦、そして多くの民間人が犠牲になった悲劇として知られています。最終的に4月1日にマカリウは完全に解放されました。

戦闘の経過

2月27日: ロシア軍の戦車15両、装甲兵員輸送車25両、軍用トラック15両からなる大規模な縦隊がマカリウを通過。この部隊は、火炎放射器、ミサイル、自走砲などの重装備を搭載していました。ウクライナのジャーナリストによると、ロシア軍はキーウかジトーミルを目指していたとされています。戦闘はこの日遅くに始まり、ロシア軍はマカリウを通過してキーウに到達しようとしました。ウクルインフォルムは、ロシア軍が女性と子供を人間の盾として車両に乗せていたと報告しています。

2月28日: ウクライナ軍は、マカリウ近郊で軍需品を輸送するロシア軍の車列を破壊しました。

3月2日: ウクライナ軍は、第14独立機械化旅団と第95独立空中強襲旅団の活躍により、マカリウを完全に奪還したと発表しました。

3月8日: マカリウ周辺で激しい戦闘が続きました。ウクライナ軍の偵察隊は、ロシア軍の縦隊が近くにいることを発見。ロシア軍戦車がウクライナ軍のT-64戦車に射程内に入ると、ウクライナ軍は攻撃を開始しました。この戦闘で、ウクライナ軍の戦車兵3名が戦死しましたが、彼らの活躍がロシア軍をマカリウから追い出す反撃に貢献しました。戦死した3名は、死後ウクライナ英雄の称号を授与されました。

3月9日: マカリウはウクライナの支配下にあったものの、依然として激しい戦闘が続いていました。

3月15日: マカリウに対するロシア軍のさらなる攻撃が撃退されました。

3月17日: ウクライナ軍はマカリウが解放されたと発表しましたが、ロシア軍の砲撃は継続していました。町は破壊が進み、人影も少なくなっていました。

3月22日: ウクライナ国防省はマカリウの完全解放を発表。しかし、翌日にはマカリウ市長が「ウクライナ軍はマカリウを完全に支配しているわけではなく、部分的にしか支配していない」と述べ、ロシア軍が依然として一部地域を占拠していることを示唆しました。

3月23日: ロシア軍第37独立親衛自動車化狙撃旅団の指揮官が、部隊が戦闘で兵士の半分近くを失った結果、自軍に戦車で轢かれたという情報が報道されました。

3月25日: マカリウは「グレーゾーン」にあり、ロシアとウクライナのどちらも完全には支配していないという見解が示されました。キーウ州当局も、マカリウで激しい戦闘が続いていると発表しました。

3月28日: マカリウ近郊のモティジン村がウクライナ軍によって奪還されましたが、村の市長とその家族はロシア軍によって殺害されたと報じられました。同日、ウクライナ軍はイルピンの戦いでロシア軍を破り、マカリウも継続してウクライナ軍の支配下にあることを発表しました。

3月31日: ロシア軍によるマカリウへの砲撃が続きました。

* 4月1日: ロシア軍はマカリウから撤退しました。4月2日にはキーウ州から完全に撤退しました。

戦闘の余波

マカリウの民間人は、戦闘によって深刻な被害を受けました。ロシア軍による攻撃で多くの民間人が死傷し、インフラも破壊されました。市内の防犯カメラには、ロシア軍の装甲車両を見た後に車を停止させた高齢の民間人2名が、車ごと銃撃され死亡する様子が記録されていました。また、パン工場への空爆では13人の民間人の遺体が回収されました。

戦闘前には約15,000人いた住民は、戦闘後には1,000人未満にまで減少しました。4月8日の時点で、市は約40%が破壊され、132人の民間人がロシア軍によって射殺されたと報告されました。6月下旬には、マカリウとその周辺地域で殺害された民間人の実際の数は200人を超え、拷問の痕跡がある遺体も発見されました。強制的にロシアやベラルーシへ連れて行かれた人々もいたとされています。

7月10日には、駐ウクライナ米国大使がマカリウを訪問し、ロシア軍の残虐な攻撃に苦しんだ人々の話に心を痛め、米国からの人道支援を誇りに思っていると述べました。

マカリウの戦いは、ウクライナにおけるロシアの侵攻の残虐さを象徴する出来事の一つとして、歴史に深く刻まれることでしょう。

もう一度検索