マクシミリアン・マリア・フォン・トゥルン・ウント・タクシス

マクシミリアン・マリア・フォン・トゥルン・ウント・タクシス：早逝の侯爵

マクシミリアン・マリア・フォン・トゥルン・ウント・タクシス（Maximilian Maria von Thurn und Taxis, 1862年6月24日 - 1885年6月2日）は、ドイツのシュタンデスヘル（領邦貴族）であり、トゥルン・ウント・タクシス侯でした。彼の生涯は短く、23歳で幕を閉じましたが、その間に侯爵家のために重要な貢献をしました。

生い立ちと侯位継承

マクシミリアン・マリアは、トゥルン・ウント・タクシス侯世子マクシミリアン・アントンと、バイエルン公マックス・ヨーゼフの娘ヘレーネの長男として、1862年にヴュルテンベルク王国のタクシス城で生まれました。母方の伯母は、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の皇后エリーザベトという、名門の家柄でした。1867年に父が亡くなると、わずか5歳で侯家の世子となり、家督を継ぐための教育を受けることになりました。1871年には祖父の死により、9歳でトゥルン・ウント・タクシス家の当主となります。しかし、幼少のため、成人するまでは母ヘレーネが後見人となりました。

教育と学問

マクシミリアン・マリアは、カール・フォン・ガイヤー＝シュレッペンブルク男爵の監督のもと、家庭教師による教育を受けました。公立のギムナジウムには通わず、哲学、法学、国民経済学などの学問を修めました。ボン大学、シュトラスブルク大学、ゲッティンゲン大学で学び、幼い頃から乗馬や狩猟を好み、芸術や学問にも深い知識を持っていました。彼はまた、自家の文書記録係にトゥルン・ウント・タクシス家の歴史を執筆するよう命じ、学問的な水準を保つよう指示しました。

家長として

1883年、21歳の誕生日に、マクシミリアン・マリアは名実ともにトゥルン・ウント・タクシス家の家長となりました。家長就任に際して、レーゲンスブルク市とその周辺の貧しい人々に多額の寄付を行い、慈善活動に貢献しました。また、本邸であるザンクト・エメラム修道院宮殿の増改築に着手し、旧修道院の一部を取り壊してネオルネサンス様式の南翼を建設させました。この改築事業は、彼の死後も後継者によって引き継がれ、完成しました。

早すぎる死

1885年、マクシミリアン・マリアはウィーンにいる義理の叔父、フランツ・ヨーゼフ皇帝を訪問しました。帰りに重い病に倒れ、宮殿内の図書館の改修工事を監督中に、心臓麻痺で亡くなりました。享年23歳という若さでした。幼い頃に患った猩紅熱の後遺症で心臓が弱っていたことが原因でした。彼の遺体は、ザンクト・エメラム修道院宮殿内の墓所に埋葬されました。

遺産

マクシミリアン・マリアは未婚で亡くなったため、当時17歳だった弟のアルベルトが家督を継承しました。彼が始めたザンクト・エメラム修道院宮殿の改築事業は、後継者によって完成され、「ドイツ史上の重要な記念建造物」と評価されています。彼の慈善活動や文化事業への貢献は、人々の記憶に残っています。


参考文献

Wolfgang Behringer: Thurn und Taxis, Die Geschichte ihrer Post und ihrer Unternehmen. München, Zürich 1990, ISBN 3-492-03336-9.
Martin Dallmeier, Martha Schad: Das Fürstliche Haus Thurn und Taxis, 300 Jahre Geschichte in Bildern. Verlag Friedrich Pustet, Regensburg 1996, ISBN 3-7917-1492-9.

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