マクフライ

イギリスを代表するポップ・ロックバンドの一つ、マクフライは、トム・フレッチャー、ダニー・ジョーンズ、ダギー・ポインター、ハリー・ジャッドの4人によって2003年に結成されました。そのバンド名は、メンバーが敬愛する映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公、マーティー・マクフライに由来しています。

結成と初期の快進撃

バンド結成のきっかけは、音楽の道を志していたトム・フレッチャーが、当時活躍していたバンド、バステッドのメンバー募集広告に応募したことに始まります。オーディションの結果、トムはメンバーには選ばれませんでしたが、これが縁となり、その後のキャリアを支えるプロダクション・レーベルとの契約に繋がりました。しばらくの間、トムはダニー・ジョーンズと二人で楽曲制作に取り組み、その過程でバステッドのセカンドアルバムや映画の主題歌制作にも関わります。その後、トムがNME誌に新たなメンバー募集広告を掲載。オーディションを経てダギー・ポインターとハリー・ジャッドが加わり、4人体制の「マクフライ」が誕生しました。

2004年7月には、満を持してファーストアルバム『Room on the 3rd Floor』をリリース。このアルバムは全英チャートで初登場1位を獲得し、先行シングルの「Five Colours in Her Hair」と「Obviously」も全英1位を記録する大ヒットとなりました。これにより、彼らはビートルズが持っていた「デビューアルバムで全英1位を獲得した最年少バンド」という記録を塗り替え、ギネス・ワールド・レコーズに認定されるという歴史的な快挙を成し遂げました。

キャリアの発展と多岐にわたる活動

続くセカンドアルバム『Wonderland』（2005年）も全英1位を獲得するなど、初期から圧倒的な成功を収めたマクフライは、精力的に活動を展開します。2005年には、大規模な国際チャリティーイベント「LIVE 8」の日本会場に出演。2006年にはリンジー・ローハン主演の映画『Just My Luck』（邦題『ラッキー・ガール』）に本人役で出演し、アメリカでの事実上のデビューも飾りました。この年には大規模な全英アリーナツアーも敢行し、バンドとしての実力を高めていきます。

2008年には、所属していたアイランド・レコードから離れ、自身のレーベル「Super Records」を設立。インディペンデントな活動を選び、その最初の作品となる4thアルバム『Radio:ACTIVE』は、異例とも言えるイギリスの新聞「Mail On Sunday」での無料配布を実施しました。これは、彼らを「アイドルバンド」と見なす世間のイメージを変え、「純粋に音楽を聴いてほしい」というメンバーの強い願いから実行されたものです。

その後もコンスタントに作品を発表し、ライブ活動を続けますが、2013年には元バステッドのメンバーと共に「マクバステッド」としての活動を開始し、マクフライとしての活動は事実上休止期間に入ります。

活動再開と現在

約7年間の休止期間を経て、マクフライは2020年に待望のスタジオアルバム『Young Dumb Thrills』をリリースし、本格的に活動を再開。10年ぶりのオリジナルアルバムとしてファンを喜ばせました。そして2023年には、7枚目となるスタジオアルバム『Power to Play』を発表するなど、現在も精力的に活動を続けています。

メンバー紹介

- トム・フレッチャー (ギター、ボーカル、ピアノ): バンドの主要なソングライターであり、ソフトで伸びやかな歌声が特徴。多くの全英1位曲を手掛けた実績を持ちます。
- ダニー・ジョーンズ (ギター、ボーカル): トムと共に作曲の中心を担い、ハスキーで深みのある歌声を持ちます。ソウルやジャズなど渋い音楽趣味でも知られています。
- ダギー・ポインター (ベース、ボーカル): 近年ボーカルを務める機会も増えたメンバー。爬虫類好きとしても知られ、ユニークなキャラクターの持ち主です。
- ハリー・ジャッド (ドラム): バンドのリズムを支えるドラマー。ダギーと共にNMEのメンバー募集広告を見て加入しました。

マクフライのメンバーは非常に仲が良いことで知られ、活動初期には共同生活を送っていたほか、現在は全員が同じ通りに住んでいるというエピソードもあります。

若く端正なルックスからアイドルバンドと見なされることもありますが、彼らの楽曲はポップなものからロックサウンドまで幅広く、本国イギリスでは若い世代だけでなく、男性ファンや中年層など幅広い層からの支持を得ています。

キャリアの中で、マクフライはSmash Hits AwardsやBRIT Awards、Nickelodeon UK Kids Choice Awardsなど、様々な賞を受賞しており、その人気と実力が証明されています。

メンバー同士の強い絆と、柔軟な音楽性で進化を続けるマクフライは、イギリスの音楽シーンにおいて確固たる地位を築いています。

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