マクラーレン・MP4-17

マクラーレンMP4-17/17D：2002年と2003年の挑戦

マクラーレンMP4-17は、エイドリアン・ニューウェイが設計し、2002年シーズンを通して使用されたF1マシンです。このマシンは、ブリヂストンからミシュランへのタイヤ変更、シングルキールからツインキールへのフロントサスペンション変更、そして改良されたフロントノーズとウイングといった特徴を持っていました。排熱装置も、初期のチムニーから、ウイングレットと一体化した形状、そして最終的には大型フィンと排熱口を組み合わせた形状へと進化しました。

2002年シーズンは、ミカ・ハッキネンの引退に伴い、キミ・ライコネンがチームに加わりました。ライコネンは開幕戦でいきなり3位表彰台を獲得するなど、その才能を早くも示しました。しかし、その後は入賞が途絶え、リタイヤを繰り返すなど苦戦を強いられました。一方、デビッド・クルサードは、モナコGPでマクラーレン唯一の勝利を収めました。ライコネンは最終的にランキング6位、クルサードは5位という結果に終わりました。ミシュランタイヤへの変更は期待されたほどの効果を発揮せず、コンストラクターズランキングではウィリアムズ・BMWに次ぐ3位となりました。

MP4-17のスペック

MP4-17D：2003年シーズンの戦車

MP4-17Dは、当初2003年シーズン用の新型マシンMP4-18が完成するまでの繋ぎとして開発されました。しかし、MP4-18のクラッシュテスト不合格と信頼性の低さにより、MP4-17Dはシーズン最後まで使用されることになりました。基本設計はMP4-17を踏襲していますが、バージボードやフロントウイングに改良が加えられ、シーズン終盤にはMP4-18で開発されたリヤ周りのエアロダイナミクスが搭載されました。

2003年シーズンも、クルサードとライコネンがドライバーを務めました。シーズン序盤は好調で、クルサードとライコネンがそれぞれ優勝を飾りましたが、ライコネンはその後も表彰台を獲得し続け、タイトル争いに加わりました。しかし、最終戦日本GPでは僅か2ポイント差でチャンピオンを逃しました。クルサードは開幕戦での優勝後、表彰台に上がることが少なくなり、ランキング7位でシーズンを終えました。このシーズン終了後、ファン・パブロ・モントーヤの2005年からの加入が発表され、クルサードはマクラーレンを去ることとなりました。

MP4-17Dのスペック

MP4-17とMP4-17Dは、マクラーレンの歴史において重要な役割を果たしたマシンであり、ライコネンの才能と、クルサードの経験が融合した2年間の戦いを象徴する存在と言えるでしょう。 惜しくもチャンピオン獲得を逃した2003年シーズンは、その後マクラーレンが築き上げていく成功の礎となったのです。

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